地球を食べるとは?
地球の表面は十数枚のプレートと呼ばれる岩石の板でおおわれていて,それらがごくゆっくりと移動している.深海底のそれらプレートの境目からは,マグマの成分を含む熱水が噴き出したり,堆積物中から絞り出された冷水が湧き出したりしていることがある.ある特殊なバクテリアは,この熱水や冷水に含まれる硫化物などの化学成分を酸化することによって得られるエネルギーをもとに有機物をつくりだす.それをはじまりとして「地球を食べる」生物群集の食物連鎖が形成されるのである.
海洋バクテリアの電子顕微鏡写真
化学合成バクテリアは,深海底から噴出する熱水や冷水に含まれる硫化水素やメタンを酸化することによって得られたエネルギーで有機物(栄養分)を作り出す.太陽の光をエネルギー源とする光合成に対して化学合成と呼ばれる.(提供:海洋科学技術センター)
シロウリガイ Calyptogena soyoae の軟体部
軟体部は生きているときには含まれているヘモグロビンのため赤い.酸素が乏しい環境に生きている「地球を食べる」生物群集の中の動物には同じように赤い体をしたものが多い.鰓の部分を薄切りにして電子顕微鏡で撮影したものを下に示した.
シロウリガイ Calyptogena soyoae 鰓断面の電子顕微鏡写真
熱水や冷水の湧き出す周りに群生しているアルビンガイやハオリムシなどの動物は,体の中に化学合成バクテリアを共生させていて,化学成分の含まれる水を体に浴びるだけで餌となる有機物が作り出される仕組みになっている.図に示したシロウリガイの鰓の中にもたくさんのバクテリアが共生しているのが認められる.(提供:海洋科学技術センター)
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