木星を天体望遠鏡で観察してみてまず気がつくのは、その表面に何本も平行にならんでいる茶褐色の縞模様です。よく見ると、まんまるな円盤でなく縞模様の方向に少しふくらんでいることや、縞模様のほかに大赤斑や白斑といった斑点があることもわかります。このような模様の動きを観測すると、見えているのは固体の地表面ではなく大気であることや、木星が縞模様と平行に約10時間で自転していることがわかります。木星は太陽系最大の惑星で、地球の約11倍の半径があります。地球の11倍の半径で地球の半分以下の周期で自転しているわけですから、赤道部分が遠心力でふくらんでいるわけです。
木星の縞模様は、このような速い自転運動と大気中の大きな流れが関係してできるものと考えられています。地球では赤道付近を東風の貿易風が、中緯度地方を西風のジェット気流が吹いているのに対して、木星では赤道付近は秒速約100mの西風が吹き、そして中緯度にいくにつれて、西風と東風が吹いている地帯が交互に現われるという特徴があります。また赤外線の観測から、縞の部分はそのあいだの白い帯の部分よりも少し温度が高いことがわかっています。このようなことから、縞は東風と西風のあいだの下降気流がおこっているところで、高度の低い雲が見えている部分、また逆に、縞と縞のあいだの帯は、上昇気流がおきていて高い雲が見える部分と考えられています。
木星の表面に見える楕円形の大きな赤い斑点、大赤斑は、長さが約24,000km、幅が約13,000 kmと地球が2個ならぶほどの大きさがあります。アメリカの探査機パイオニア10号の観測によって、温度がまわりよりも低く、上昇気流のおきている領域であること、またボイジャーの観測によって、反時計方向に約6日でまわる大きな渦であることがわかりました。
木星
ボイジャー1号が撮影した木星の大赤斑
提供:NASA/NSSDC
拡大表示
▲ページ先頭に戻る
Copyright (c) 1998-2008 National Museum of Nature and Science. All rights reserved.