木星の質量と半径からその平均密度を求めてみると、水の約1.3倍しかないことがわかります。地球や水星金星火星(これらを地球型惑星とよびます)に比べてずっと小さく、むしろ太陽の平均密度に近い値です。地上や惑星探査機の観測からも、木星は水素約90%にヘリウム約10%、つまり太陽とほぼ同じ成分からできているという結果が得られています。どっしりと光って見える惑星の王者木星ですが、その実体は非常に軽いものからできているのです。木星はこのように主に水素でできた球体ですから、私たちが観察することができるのはその分厚い大気の表面だけで、地面にあたるようなものを見ることはできません。前の質問に出てきた縞模様や大赤斑も木星の上にうかぶ雲の模様にすぎないわけです。それでは木星の内部はどのようになっているのでしょうか? 大気の奥底には地面があるのでしょうか?
木星の大気中をどんどん下に降りていくと、圧力が急速に増していきます。自分より上にある大気の量がどんどん増え、その重さがのしかかってくるからです。100kmほど降りると、その圧力のために液体状になった水素の層が現れます。この液体分子状の水素の層は厚さ約2万km、木星の外側3割ほどを占め、その底では圧力が300万気圧に達します。すると今度は、水素が液体金属状に変化します。この層は約4万kmほど続き、その底では圧力は3600万気圧、温度は約2万度に達します。岩石状の中心核があるのはこの下になります。地面とよぶにはあまりにもかけはなれた世界ですね。
木星の内部構造
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