冥王星は1930年2月18日、アメリカのローウェル天文台で撮影された写真から、当時24歳の若き天文学者クライド・トンボーによって発見されました。しかし、そのおおもとは天王星の発見にまでさかのぼります。天王星の運動の乱れから、海王星が発見されたことは天王星・海王星のところでのべましたが、海王星の引力を考えても説明できない運動の乱れがわずかに残っていました。
そこで、海王星より遠くにまだ発見されない惑星があると考えられ、その惑星を探すことがいろいろな天文台でおこなわれました。中でも火星観測で有名なローウェルが創立したローウェル天文台は火星の観測のほかに、この新しい惑星を発見することを重要な仕事としていました。ローウェルは1916年に亡くなりましたが、ローウェル天文台の人たちはその後も懸命に探しつづけていたのです。
みつかった冥王星は、明るさ15等でたいへん暗く、距離は海王星までの距離の約1.3倍でした。また、その軌道は他の惑星が集中している黄道面(地球の公転軌道面)に17度も傾いていました。発見に時間がかかったのは、もう少し明るいと予想され、黄道面に近いところを探していたからです。なおまた、冥王星の軌道は他の惑星の軌道よりもっとだ円形につぶれていて、太陽にいちばん近いときは44億3千万km、いちばん遠いときは74億2千万kmと、極端に変化します。冥王星が太陽にいちばん近いときには、内側の海王星より太陽に近くなることが起こります。
なお、1978年冥王星の約半分の大きさの衛星カロンが発見されました。
海王星と冥王星の軌道
冥王星が発見された当時の写真
1930年3月2日4時56分
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1930年3月5日3時44分
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