2006年8月にチェコのプラハで開かれた国際天文学連合(IAU)総会は、新聞やニュース番組にも取り上げられるほど、人々のあいだで大きな話題となりました。それまで9つとされてきた太陽系の惑星の定義をはっきり決めるための会議が行われ、冥王星が惑星のままか、そうでなくなるかが採決されることになったからです。
この議論の大きなきっかけの1つに、その後エリスとよばれることになる天体、2003 UB313の発見があります。2003年10月に見つかったこの天体は、公転周期が557年で太陽からの距離が38から98天文単位(平均68天文単位)の楕円軌道をえがいており、さらにその後の観測から、直径が冥王星と同等かそれ以上あることが明らかになったのです。
発見されてしばらくは、地球と同じかそれより少し小さいくらいの大きさと思われていた冥王星ですが、現在では直径2370kmと月よりも小さな天体であることがわかっています。小さいとはいえ、冥王星が太陽系の第9惑星ならば2003 UB313も惑星とよんでかまわないのではないか、第10惑星の発見だ、ということでNASAが発表を行ったのは2005年の7月のことでした。
結局、IAUの総会で2003 UB313は惑星とは認められませんでした。それどころか、冥王星も惑星のなかまからはずされてしまいました。それはなぜでしょう? IAUは、まわりの天体を重力で掃き飛ばして軌道の近くに他の天体がいないことを惑星の条件の1つと定めました。火星と木星のあいだにはたくさんの小惑星がまわっています。実は冥王星や2003 UB313のあたりにも、同じようにたくさんの天体がまわっていることがわかっています。そのために冥王星(と203 UB313)は惑星ではなくなったのです。
冥王星の付近をまわっている他の天体とはどのような天体なのでしょう。それは
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でお答えすることにしましょう。
ハッブル宇宙望遠鏡が撮影した冥王星
提供:NASA/STScI
冥王星とエリス(2003 UB313)の軌道
作図ソフト:Mitaka / 国立天文台4D2Uプロジェクト
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