1992年、うお座の中で1つの小惑星が発見されました。1992 QB1という仮符号がつけられたその天体は、しかし、ふつうの小惑星とは大きく軌道が異なっていました。ほとんどの小惑星は火星と木星のあいだをまわっているのに対し、この星はなんと海王星の外側をまわっていたのです。このような星はその後続々と見つかり、現在では1000個以上もの数になっています。このような天体が太陽系外縁天体とよばれる天体で、現在では冥王星もその1つと考えられています。
1992 QB1の発見に先立つこと半世紀、これらの太陽系外縁天体の存在を予言していた天文学者がいました。アイルランドの天文学者エッジワースとアメリカの天文学者カイパーです。彼らは、太陽系の外側には惑星になりきれなかった天体が残され,その一部が彗星のもとになっていると考えました。そのような天体が分布する、海王星の軌道の外側に円盤状に広がる領域をエッジワース・カイパーベルト(あるいは単にカイパーベルト)とよんでいます(小惑星・彗星・流星・隕石編III「彗星はどこから来るのですか」の
図
参照)。1992 QB1は最初に見つかったエッジワース・カイパーベルト天体だったのです。
太陽系の惑星は、微惑星とよばれる直径10kmほどの小さな天体が衝突合体して生まれたと考えられています(太陽系の誕生編I「太陽系はどのようにして生まれたのですか」の
図
参照)。海王星の外側には、惑星になりきれなかった微惑星が今でも残っていることが、最近の理論研究からも示されています。実在することが証明されたエッジワース・カイパーベルト天体(太陽系外縁天体)の研究は、生まれたての頃の太陽系を知るための重要な手がかりとなることでしょう。
太陽系外縁天体の軌道(白い点もそれぞれ別の太陽系外縁天体を表しています)
作図ソフト:Mitaka / 国立天文台4D2Uプロジェクト
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