望遠鏡で土星をのぞくと、やや黄色みをおびた丸い土星のまわりを、麦わらぼうしのつばのように輪がとりかこんでいます。この明るい輪は外側からA環、B環、C環と三重になっており、B環がいちばん明るく、C環はかなり暗くみえます。小望遠鏡でもかんたんにみえるのはA環とB環です。A環とB環をくぎるのがカッシニのすきまです。
土星の輪はひじょうに大きく、A環の外側の半径は13万7600kmと土星本体の2.25倍もあり、A環とB環をあわせたはばも4万4000kmと、地球が3個以上もならぶほどです。このほかにも明るい環の外側にE、F、G環、内側にD環がありますが、これらの環はひじょうに暗く、大望遠鏡や探査機でしかみることができません。
土星の輪が水平になったときは、大望遠鏡でも地上からはほとんどみえません。これから、輪の厚さはひじょうに薄く、1km以下だと思われます。じっさい、ボイジャー探査機によれば、輪の厚さは数十mでした。
それでは、この輪は何でできているのでしょう。土星の輪が小さな粒々からできていることは19世紀末からわかっていましたが、それがはっきりしたのはボイジャー探査機の成果によります。ボイジャー探査機は明るい輪が数千本の細い輪が同心円状にならんでできていることや、その輪を作る粒々は大きさ数mから数cmの氷の粒であることを発見しました。これにたいして、暗く細い輪の、D、E、F、G環は大部分が数ミクロンの大きさの小さなチリの粒子でできていたのです。
土星の輪のみえかた
土星の輪はいつもおなじようにみえるわけではなく、その傾きが変化します。これは、土星の赤道面が26.7度傾いているため、29.5年の公転周期の間に大きく傾いて輪の北側や南側をみせるときや、ま横をむいて水平にみえるときがあるからです。最近は2009年にま横をむいてから、輪の北側をみせるようになり、2017年に傾きがいちばん大きく、2025年にふたたび水平になります。
土星の輪の傾きの変化
土星本体と輪
提供:NASA
輪のクローズアップ
提供:NASA
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