土星の衛星のうちもっとも大きなタイタン(チタンともいいます)は、太陽系のなかで大量の大気をもつただ一つの衛星です。タイタンは半径2575kmで惑星の水星より大きい、太陽系第2の大きさの衛星です(第1は半径2632kmの木星の衛星ガニメデ)。その密度は水の1.9倍で、ほぼ半分ずつの岩石と氷でできていると思われます。
タイタンに大気があり、その大気にメタンがふくまれていることは、1944年地上の観測からわかっていましたが、くわしいことがわかったのはボイジャーによる探査からです。
それによると、タイタンの大気のほとんどは窒素でできており、メタンの割合は数%くらいです。大気の下の層、地表から数十kmの高さにメタンの雲があり、そこからはメタンの雨が降りそそいで、地表にはメタンやエタンの湖ができていることが現在ではわかっています。
大気中には、太陽光によってメタンや窒素から作られた、オレンジ色のスモッグ(光化学スモッグ)があり、地表から高さ200kmまで広がっています。このため、タイタンの地表を直接みることはできません。
大気の成因については、タイタンの氷にふくまれるアンモニアやメタンが、紫外線で分解されて窒素と水素ができ、軽い水素はタイタンの重力をふりきって宇宙空間に逃げていったためだといわれています。
タイタンの大気圏
(W.K.Hartmann, 1983の図を一部改変)
データ:衛星表
タイタン(昼側から)
提供:NASA
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タイタン(夜側から)
提供:NASA
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大気のため右端も光っている
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