惑星たちにはギリシャ神話の神々の名前がつけられています。これは、西洋の星座がひととおりの完成をみた古代ギリシャで、星座の間を動く明るい惑星にたいし、神さまの名前をつけたからです。しかし、じっさいによばれる名前はギリシャ神話をうけついだ古代ローマでの神々の名前です。
肉眼でみえ古代から知られていた水・金・火・木・土の五個については。水星は太陽のまわりをめまぐるしく動くことで、伝令の神マーキュリー。金星は明けの明星・宵の明星としてとても美しく、美の女神ビーナス。火星は赤く不気味な輝きから、戦争の神マース。木星はそのどっしりと落ち着いた輝きにたいし、神々の王者ジュピター。土星はそのくすんだ黄色の光に、土と農耕の神サターン、と名づけられました。
望遠鏡時代になって発見された惑星にも同様に神々の名がつけられました。天王星はその青い色に、天空の神ウラヌス。海王星も青い色から、海の神ネプチューン。準惑星となった冥王星は太陽系の果ての天体として、冥界の神プルート、というようにです。
これらの惑星たちはひとつの家族になっています。図にみられるように、地球を表す、大地の女神ガイアを大母とする大きな家族なのです。
水星や金星という五惑星の名前はギリシャ神話とは関係なく、古代中国で考えられた五行説によります。五行説とは、世界を形作る五つの要素を木火土金水とし、これらの要素の変化や組み合わせで自然界や人間社会の現象を説明しようという考えです。そこで、五行説によりなんでも五つに分類することが行われました。方角や季節、色なども五つに分類されています。
古代から知られた五惑星も五行説に都合がよく、要素が割り当てられました。中国名で辰星ともよばれる水星は太陽のまわりをめまぐるしく動くので水の要素の星。太白ともよぶ金星は明るく白く光るので金の要素。螢惑ともよぶ火星は赤い色の火の要素。木星と土星は、よりくすんだ黄色の方が土の要素の土星。残った木の要素を木星に割り当てました。木星はまた中国名では歳星、土星は鎮星ともよびます。
天王星・海王星・冥王星の三つは神々の名前を訳したものです。
最後にこれらの惑星などの記号をご紹介しましょう。おなじみのオス・メスの記号は火星と金星の記号からとられたものなのです。
惑星と冥王星の家系図
五行説
太陽・月・惑星などの記号
▲ページ先頭に戻る
Copyright (c) 1998-2008 National Museum of Nature and Science. All rights reserved.