日本の生物多様性ホットスポットの構造に関する研究(Biological Properties of Biodiversity Hotspots in Japan)

「多様性ホットスポット日本」の生き物たち

代表的な日本固有種、国内の多様性ホットスポットに生息する種、日本を分布の中心とする種など、「多様性ホットスポット日本」の重要な構成要素と考えられる生物を、プロジェクトに参加している様々な分類群が専門の研究者たちが紹介します。

スズキケイソウ

タラシオシーラ科

Praestephanos suzuki (Tuji et Kociolek) Tuji

黄色生物界-不等毛植物門-珪藻綱-中心目

スズキケイソウ(タラシオシーラ科)

写真:左:Praestephanos suzuki (Tuji & Kociolek) Tuji 右:Aulacoseira nipponica (Skvortzov) Tuji

古くから知られる琵琶湖の固有種で、1950年代には、1-3月に優占するとされていたが、近年は、安定的に優占する事がなくなり、春や秋にも出現するようになった。本種は長い間、アメリカ西海岸に産する化石種と同定されてきたが、2000年に新種であることが明らかになった。また、2015年には本種をもとに新属(Praestephanos)が提唱された。本種とAulacoseira nipponica (Skvortzov) Tujiは、琵琶湖の堆積物中に大量に見られる。本種がどのように進化してきたかについては、琵琶湖の200mもの長さのコアに含まれる珪藻化石を連続的に観察することで明らかになった。その結果をもとに、3種類ものスズキケイソウの祖先種が記載された。本種はこのように多くの珪藻研究者によって研究されてきており、現在も研究が続いている。(植物研究部・辻 彰洋)

分布 日本固有種(琵琶湖)
絶滅危惧(環境省) 絶滅危惧(IUCN)

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