日本の生物多様性ホットスポットの構造に関する研究(Biological Properties of Biodiversity Hotspots in Japan)

「多様性ホットスポット日本」の生き物たち

代表的な日本固有種、国内の多様性ホットスポットに生息する種、日本を分布の中心とする種など、「多様性ホットスポット日本」の重要な構成要素と考えられる生物を、プロジェクトに参加している様々な分類群が専門の研究者たちが紹介します。

ハヤチネウスユキソウ

キク科

Leontopodium hayachinense (Takeda) H.Hara et Kitam.

植物界-維管束植物門-モクレン綱-キク目

日本列島には多種多様な植物が分布しており、それらを対象とした様々な研究も行われている。その一方で、高山植物(高山帯・亜高山帯に分布する植物群)については、サンプリングに多大な時間と労力を要することもあり、これまでに科学的知見が十分に得られていないのが現状である。本種はキク科ウスユキソウ属の多年草で、岩手県の早池峰山に固有の高山植物である。また、生育地が限られ個体数も少ないため絶滅危惧種にも指定されている。ヨーロッパアルプスに自生し、日本ではサウンド・オブ・ミュージックの挿入歌で知られる「エーデルワイス」(L. alpinum セイヨウウスユキソウ)と同属であり、日本に自生するウスユキソウの仲間では、エーデルワイスに形態が一番類似するとされるのが本種である。本研究では、このハヤチネウスユキソウを含めた稀少な高山植物の化学特性評価を進めているが、これまでに多数の抗酸化性のフェノール成分が発見されている。(植物研究部・村井 良徳)

分布 日本固有種(岩手県早池峰山)
絶滅危惧(環境省) 絶滅危惧IB類(EN) 絶滅危惧(IUCN)

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