魚さまざま


Database for Aquatic-vertebrate Science

フグってなあに?
執筆:松浦啓一


フグ目は真骨魚類の中で最も特殊化したグループで、およそ340種を含んでいます。フグ目はモンガラカワハギ亜目とフグ亜目の2大グループに分かれます。モンガラカワハギ亜目はベニカワムキ科、ギマ科、モンガラカワハギ科、カワハギ科、イトマキフグ科およびハコフグ科の6科に分類され、フグ亜目はウチワフグ科、フグ科、ハリセンボン科およびマンボウ科の4科に分類されています。フグ目の大多数は海にすんでいますが、フグ科の一部の種類は東南アジアやアフリカ、そして南アメリカの川や湖に生息しています。海に分布する大半の種類は200メートル以浅のサンゴ礁、岩礁および砂泥底に生息しています。しかし、ベニカワムキ科の中には1000メートル以深から採集された種類もいます。また、少数ながらマンボウやフグ科のクマサカフグのように外洋を生息場にしているものもいます。

フグ目の仲間は次のような共通の特徴をもっています。顎を突き出すことができない(突き出せてもごくわずか)こと、歯の数が少ないか癒合して嘴状になっていること、鰓条骨が完全に皮膚におおわれて隠れていること、鰓孔が小さくて裂孔状であること、腹鰭の構造が退縮しているか、腹鰭を欠くことです。 フグ目は真骨魚類の他のグループとくらべると形態が著しく多様化しています。大きさを例にとると、体長2センチで成熟するアミメハギ属(カワハギ科)がいる一方、体長3.2メートルをこえるマンボウもフグ目の一員です。また、ベニカワムキ科のように左右一対の腹鰭をもつものから、モンガラカワハギ科のように腹鰭が不対で単一の構造をもつ変わり者もいます。そして、イトマキフグ科や、ハコフグ科、フグ科、ハリセンボン科、マンボウ科には腹鰭がありません。また、フグ科のほとんどの種類は内臓や血液にフグ毒(テトロドトキシン)という強い毒をもっています。