2025-01-23
マイクロCTが解き明かす昆虫と昆虫がつくるものの3次元的構造
3次元的構造を可視化するマイクロCT
図2 マイクロCT装置とその解析画像
甲虫の体のつくりや虫こぶの形状を、内部構造も含めて3次元的に理解するために役立てられたのが「マイクロCT(マイクロフォーカスX線コンピュータ断層撮影)」です。マイクロCTはX線を使って観察対象の断面を連続的に撮影するCTスキャンのひとつで、昆虫のような小さな観察対象であっても、高い解像度で内部構造を撮影することができる技術です。専用の3次元画像解析ソフトウェアを使うことで、コンピュータ画面上に描き出された観察対象を、360度、好きな方向から観察し、その内部構造などを解析することができます。
観察対象を破壊することなく内部構造を観察できることから、昆虫学の分野でも、解剖では理解しづらい3次元的な構造の解析や、生きた昆虫または替えが効かないような貴重な昆虫標本を用いての内部構造の観察など、活用の幅が広がっています。
実際にマイクロCTを用いて甲虫や虫こぶを撮影し、コンピュータ上で角度や断面を自在に変えて観察してみると、甲虫の体内を縦横に走る筋肉や、虫こぶの内部に散在する空隙などの、複雑で立体的な構造を手に取るように把握することができました。