星には自分で光を出している星と出していない星とがあります。木星や土星のような惑星は、自分では光を出さずに太陽の光を反射して光っている星です。これに対して、夜空に見える大部分の星は自分で光っている星です。このような星を恒星といいます。太陽も自分で光を出しているので恒星の1つといえます。
太陽も含めて恒星がどのような仕組みで光っているかは、長い間大きな謎でした。なにか石炭のようなものが燃えていると考えたのでは、太陽は6000年とかからず燃えつきてしまうことになり、うまく説明ができません。1854年ドイツの物理学者ヘルムホルツは、太陽は非常に少しずつ縮んでおり、その落ちていくエネルギー(重力エネルギー)が太陽のエネルギー源であるという説をとなえました。この説によると、太陽は3000万年ほど輝き続けることができます。しかし、その後の地質学の研究によって、地球の年齢はこれよりもずっと大きいことがわかりました。
さまざまな説がこのように浮かんでは消えていくなかで、1920年イギリスのエディントンは、星の内部のエネルギーの流れや温度のつりあいから、太陽のような星の中心部が温度約1500万度、密度は水の数十倍という超高温超高密度の状態になっていることを明らかにしました。これは、水素原子どうしが衝突してくっつきヘリウム原子に変わる核融合反応がおきても不思議ではない温度と密度です。1938-39年ドイツのワイゼッカーとアメリカのベーテは、実際にそのような反応がちょうど必要な量だけおこっていることを具体的に示しました。この反応は水素1gから石炭20tを燃やすほどの非常に大きなエネルギーを取り出すことができるため、太陽ほどの星ならば100億年ものあいだ輝き続けることが可能となります。
星が核融合反応によって光っているということがわかったのは、このように20世紀中頃のことです。
水素の核融合反応
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