恒星は、望遠鏡をどんなに高い倍率にしてみても、またたく光の点にしか見えません。恒星は、非常に距離が遠いために、直接その大きさを観測することはできないのです。例えば、太陽(太陽も恒星の1つです)をもっとも近い恒星ケンタウルス座アルファ星の距離、4.3光年のところにおいたとすると、その見かけの大きさは、角度にして100万分の1度、100km先においた鉛筆のしんの太さぐらいにしかなりません。それでは、恒星の大きさはどのようにしてわかるのでしょう?
恒星の表面温度は、その星の色などから知ることができます。また、星のもともとの明るさ(絶対等級)は、その星の見かけの明るさと距離などから知ることができます。絶対等級は、その星を距離32.6光年(10パーセク、1パーセクは年周視差が1"になる距離)においたときの等級で表します。例えば、太陽は1等星の1200億倍もの輝きで私たちを照らしているわけですが、これは距離が近いためで、絶対等級になおすとその明るさは4.8等級にすぎません。また、しし座の1等星レグルスは、距離が84光年なので、32.6光年まで近づけてくると-0.7等級になり、明るい絶対等級をもつことがわかります。
絶対等級がわかると、その星の出す全エネルギーを求めることができます。一方、星の表面温度からは、表面の単位面積あたりから放射されるエネルギーの量がわかります。したがって、星の全放射エネルギーをこの値で割ってやれば、星の表面積がわかり、半径も求めることができます。例えば、レグルスは全放射エネルギーが太陽の380倍ありますが、表面温度が13000度で単位面積から放射されるエネルギーは太陽の26倍しかないので、表面積は15倍、つまり半径は太陽の3.8倍あることがわかります。また、同じようにして、さそり座の真っ赤な1等星アンタレスは、半径が太陽の700倍もあることもわかります。このような星は赤色巨星とよばれています。反対に、おおいぬ座の1等星シリウスのまわりをまわっているシリウスBという星の半径は、太陽の約1/60、つまり地球のたった1.7倍しかありません。このような星は白色矮星とよばれています。
大きくて距離が近い星であれば、干渉計という装置を用いて大きさを直接測ることも可能です。例えば、オリオン座の1等星ベテルギウスは、見かけの大きさが角度で0.04秒と求められています。距離を500光年とすると、半径は太陽の700倍になります。この星も赤色巨星です。
絶対等級とは?
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