私たちは太陽系第三惑星の地球に住んでいる地球人ですね。空に光る星の世界にも私たちと同じような生き物、宇宙人はいるのでしょうか。もし、宇宙人がいるとしたら、その世界はどうなっているのか、またどんなことを考えているのか、ぜひ知りたいものですね。
まず私たちの目を太陽系の惑星たちに向けてみましょう。昔は、金星人や火星人がいるかも知れないなどと考えられたこともありました。しかし残念ながら、惑星探査などから地球以外の惑星には宇宙人のような知性のある高度な生命は住んでいそうにありません。その他の生命現象についても、大気や水のない水星や月の上では生命は生きていられませんし、400度以上の高温の金星にも、地球で生まれたような生物はとても生きていられません。探査機が着陸してくわしい実験をおこなった火星にも、生命は発見されませんでした。その外側の木星や土星には固い地面もありませんし、温度も生命には低すぎるようです。火星からの隕石中に細菌のような太古の火星の生物の化石が発見されたという1996年のニュースや木星の衛星には生物が存在できる環境があるという説についてもまだ確認されていません。今のところ、太陽系では地球以外には生物はいないようです。地球は生命にとってちょうどよい環境だったようです。
しかし、目を太陽系の外の星の世界に向けてみましょう。私たちの太陽は平凡な星の一つですし、太陽系のように惑星をもっている星も数多くあるようです。すると、それらの惑星の中には地球と同じような惑星もたくさんあることでしょう。こういう惑星の中には生命が生まれ、進化して文明や知性をもった宇宙人の住む星があっても不思議ではありません。
アメリカのドレイクは私たちの銀河系の中に地球かそれ以上の文明をもった宇宙人が現在どれくらいいるのかをあらわす一つの式を考えました。この式の中で、天文学の知識で決められる数字はほぼ正確に決まります。しかしその他のこと、生命の誕生と人類のような技術をもつ宇宙人に進化する割合や文明の寿命を正しく決めることはとても難しいことです。しかし、私たち地球人の場合がそれほど特別なものではないと考えると、だいたいの数字をあてはめて考えることができます。それによると銀河系の高度な文明の数は悲観的に考えるか楽観的に考えるかによって、10万分の1から10億になります。この数字の中間をとれば、銀河系には100個の文明があり、それらのあいだの距離は数千光年ということになります。
ドレイクの宇宙文明の式
(文明の数)=(銀河系で毎年誕生する星の数)×(惑星系をもつ星の割合)×(そのうち生命に適する惑星の数)×(その中で生命が生まれる惑星の割合)×(文明をもつ宇宙人に進化する割合)×(文明の寿命)
パイオニアのメッセージ
アレシボ電波望遠鏡
提供:NAIC - Arecibo Observatory (, a facility of the NSF)
拡大表示
宇宙人探し
銀河系の中には高度な文明があるにちがいないと多くの科学者は考えています。そして、そういう文明をもつ宇宙人を真剣にさがそうとしています。これを、地球外知的生命の探査とよびます(英語での頭文字をとってSETI)。高度な文明をもつ宇宙人は、地球人と同じようにその通信の手段に電波を使っているにちがいありません。ですから、宇宙人の方から特別に地球の方向に向かって通信をしてこなくても、もれ出てくる電波が観測できるでしょう。また、電波は星間空間のガスやちりによる吸収が少ないので、宇宙人を探すには電波望遠鏡がおもに使われています。
最初の「宇宙人探し」はドレイクによる1961年のオズマ計画で、グリーンバンク天文台の電波望遠鏡を、太陽に近い2つの星、くじら座タウ星とエリダヌス座イプシロン星にむけて、文明から発される電波が受信できるかどうか観測しました。数年間続けられたのですが、残念ながら宇宙人からと思われる電波は受信できませんでした。その後もときおり同じような宇宙人探しが続けられてきましたが、最近ではアレシボの電波望遠鏡によって受信された電波から、パソコンを用いて特異な信号を検出し、宇宙人を探そうという計画が、世界中のボランティアの参加で進められ、これを、セチ・アト・ホーム(seti@home)とよんでいます。
一方、地球から宇宙人にメッセージを送ることもおこなわれました。1974年にはアレシボの電波望遠鏡で球状星団M13に、原子番号や人間の大きさ、太陽系などについて知らせる、0と1のパルスでできたモールス信号のような通信が送られました。日本の学者たちは1987年スタンフォードの電波望遠鏡で七夕の牽牛星、わし座のアルタイルに通信を送りました。
また、木星や土星などの外惑星の探査をおこなった探査機にも宇宙人へのメッセージがあります。1972年と1973年に打ち上げられたパイオニア10・11号には、人間の男女などを描いた、たて横が15cmと23cmの金属板が取り付けられていました。また1977年にあいついで打ち上げられたボイジャー1・2号には、宇宙人へ向けてのあいさつや音楽を録音した金のレコードが積み込まれていたのです。これらの探査機は、今では太陽系を離れ、いちばん近い星まで数万年もかかる大旅行を始めたばかりです。うまく宇宙人に会うことができて、私たちからのメッセージを伝えてくれることができるでしょうか。
▲ページ先頭に戻る
Copyright (c) 1998-2008 National Museum of Nature and Science. All rights reserved.