哺乳類には草食獣が結構いるのに,魚類ではその習性をもつ者は少数である.海藻をついばむ多く種類が同時に肉食もおこなうからである.しかし,ともに暖かい海にすみ,海藻の多い岩場などで生活しているアイゴやニザダイといった魚は草食性といってもよい.なぜなら採集直後のアイゴのおなかを開いてみるといつも海藻がいっぱいつまっているし,ニザダイはあまり美味しそうもない石灰藻という硬い海藻を好んでボリボリ食べているからである.陸上の草食性の動物が長い腸をもっていることは有名だが,彼らの腸もやはり長い.