海藻を食べる ウニの仲間


  ウニの仲間の多くは海藻や海草を好んで食べる「ベジタリアン」である.ウニの口はいがぐり状の体の下側の中央にある.口の中には多数の骨片や筋肉などが組み合わさってできている強力な口器を持っており,この口器はアリストレテスのランタンと呼ばれている.ランタンには5本の鋭く細長い歯があり,強力な筋肉によって歯を動かし,かなり硬いものでも噛むことができる.また,この歯は成長を続けており,少しずつ新しい歯に入れ替わっていくのだ.
 ウニはこの5本の歯を使って,海底の岩礁などに付着する海藻や海草をかじり取って食べる.北海道や東北の岩礁海岸に分布し食用とされるエゾバフンウニでは,緑藻類のアオサや褐藻類のコンブ,また海草類のスガモなども食べることが知られている.ウニの密度が高い海岸では,海底の海藻が食べ尽くされ,海底には石灰藻だけが残る「磯やけ」という食害現象を起こしてしまうこともある.ベジタリアンのウニでも,海藻がなければ小さな動物やデトリタスなども食べる雑食性の種が多い.


写真:ムラサキウニ Anthocidaris crassispina(撮影:楚山 勇)


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