国立科学博物館では、2010年10月26日(火)から2011年2月6日(日)まで、特別展『空と宇宙展 −飛べ!100年の夢―』を日本の航空・宇宙100年を記念して開催します。
今年は1910年12月に日本初の動力飛行が実現してから100周年となります。
『空と宇宙展』では、国立科学博物館所蔵の未公開資料や宇宙航空研究開発機構(JAXA)の資料など、航空・宇宙の技術開発の100年の歴史と成果、そしてこれからの姿を集めて展示を構成します。航空と宇宙に関する技術的な成果を集めて広く紹介する、これまでに無いユニークな内容の展覧会となります。日本の航空史上に残る貴重な写真や模型、プロペラなど機体構成物などから、日本の宇宙開発のスタートを飾った「ペンシルロケット」や小惑星探査機「はやぶさ」の実物大モデルなど貴重な資料を展示、大空と宇宙に魅せられた研究者・技術者の姿を浮き彫りにします。航空・宇宙ファンや児童・生徒・学生をはじめ、ファミリー層や航空機・宇宙開発に携わっている研究者、技術者、関連ビジネス関係者など多くの方々が航空・宇宙分野の夢と力に触れることのできる内容となります。
『空と宇宙展』では、これまで展示される機会が少なかった日本の航空宇宙史を取り上げます。航空・宇宙技術は時代を表す最高峰の技術の集合であり、時代ごとの叡智が人類の夢を叶えるために歴史を作ってきたといえます。
本展覧会では、西洋文明の流入と日本独自の発想が交じり合い、気球や模型飛行機などを使って空へと挑んでいった江戸時代から明治時代中期にかけての動力飛行前史から、歴史絵巻を紐解いていきます。そして100年前の新聞各紙が「快挙」「快事」と報じた1910年12月のハンス・グラーデ単葉機を操縦する日野熊蔵大尉とアンリ・ファルマン複葉機を操縦する徳川好敏大尉による「日本初の動力飛行」をクローズアップし、果敢に空へと挑んだ航空界の先駆者の姿と欧米飛行機の導入・模倣・試作の時代を紹介します。次に1920年代以降の自主技術による航空機製作の時代では、航空技術の限界へ挑戦した科学者や技術者の努力、世界最高水準の航空機を設計、製造した記録を展示します。そして、戦後復興を果たした日本の科学技術のシンボルである国産航空機や、ソ連、米国、フランスに次いで成功した日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げなどの広がる宇宙開発のドラマを描きます。さらに、2014年に就航予定の初の国産ジェット旅客機、「MRJ(ミツビシ・リージョナル・ジェット)」、華々しい成果となった小惑星探査機「はやぶさ」、そして宇宙ヨット「イカロス」をはじめとする人工衛星や探査機などの最新計画が一堂に会します。
今回初公開となる貴重な資料の一つは、科博が所蔵する1910年〜1935年ごろに陸軍機を撮影した、90枚の手彩色写真。戦前、科学博物館に陸軍の航空室があったことからこれらの写真が保管されており、近年発見されました。当時の機体の色を再現する資料として注目されます。
日本の航空・宇宙の100年間を振り返り、未来への展望を指し示す本展、ぜひお楽しみください。