その通りです。私たちの宇宙が膨張していることを見つけたのは、アメリカのハッブルで1929年のことでした。
ハッブルは1917年に完成し、その当時世界一の大きさの大望遠鏡だった、ウィルソン山天文台の2.5mの反射望遠鏡を用いて、私たちの銀河系の外にある、銀河の研究をしていました。といっても、当時にはまだまだ、アンドロメダ大星雲のような、銀河系外の渦巻き銀河が本当に銀河系の外にあるかどうかもはっきりとはしていなかったのですが。
ハッブルは銀河についての研究を進めていくうちに、面白いことに気がつきました。それは銀河のすべてが私たちから遠ざかるような運動をしていること、そしてその速さが、私たちとその銀河までの距離に比例していること、でした。これを、ハッブルの法則といいます。
銀河が私たちから遠ざかっていることは、どのようにして分かるのでしょう。私たちが線路のすぐそばに立っていて、近づいたり遠ざかったりする汽車の汽笛の音を聞いたとします。汽笛の音は汽車が遠ざかるときには低い音に聞こえ、汽車が近づいて来るときには高い音に聞こえるでしょう。これはドップラー効果とよばれる現象で、音などの波はそれを発する物体が観測者に近づいて来るときには波長が短く(音が高く)、また遠ざかるときには波長が長く(音が低く)なるのです。光には波の性質がありますので、光を出す天体が私たちから遠ざかるときには、光の波長が長く、すなわち、赤くなりますので、赤方変移とよんでいます。また遠ざかる速さは、この赤方変移の量を測ることで求めることができるのです。
ハッブルが観測した結果を図に示しています。図上の直線が比例関係をあらわしています。この比例定数をハッブル定数とよんでいます。ハッブルが求めたハッブル定数は現在の数値よりよほど大きいものでしたが、それは当時変光星を用いて求められた銀河の距離が少し間違っていたからです。
現在では、ハッブル定数はかなり正確に求められています。そして非常に遠い銀河の距離はハッブルの法則を用いて銀河の後退速度をはかることであたえられます。
ハッブルの求めた速度距離の比例関係をしめす図
ハッブル
(C) Copyright
Califolnia Institute of Technology
All Rights Reserved.
拡大表示
▲ページ先頭に戻る
Copyright (c) 1998-2008 National Museum of Nature and Science. All rights reserved.