ビッグ・バンで誕生し、今も膨張を続けている、私たちの宇宙。その未来はどうなるのでしょうか。これについては、大きく二つの場合が考えられるといえましょう。一つは、宇宙の膨張が無限に続いていくという場合で、もう一つは、宇宙の膨張が止まり、縮み始めるという場合です。そして、この二つのどちらになるかは、宇宙の中にふくまれる物質の量によって決まります。
宇宙が膨張しているということは、お互いのあいだの距離が離れていくことです。しかし、宇宙の中にある物質のあいだには、重力、すなわち万有引力によって引きつけあう力が働いています。宇宙の膨張は重力によって常にブレーキがかけられているのです。現在は、膨張していくエネルギーが重力に打ち勝っているので、宇宙は膨張を続けているのです。
もし、宇宙の中に膨張を引きとめる物質の量が多ければ、いずれは膨張が止まり、宇宙は収縮を始めます。これを閉じた宇宙とよんでいます。そのわけは、宇宙の体積が有限のままだからです。それにたいして、物質の量が少なければ、宇宙は永遠に膨張を続けていきます。これを開いた宇宙とよんでいます。また、もし物質の量が膨張が続くぎりぎりであったとしたら、やはりその宇宙は開いた宇宙ですが、特に平坦な宇宙とよびます。
もし宇宙が閉じているとすれば、将来は膨張が止まってしまいます。その後、宇宙は収縮していき、最後には1点に集まって消えてしまうでしょう。これを、ビッグ・バンとは逆の、ビッグ・クランチ(大収縮)とよんでいます。
では、宇宙の中の物質の量が少なくて宇宙が開いているとすればどうでしょう。この場合は永遠に宇宙は膨張を続けます。私たちのまわりの銀河は膨張によって宇宙の地平線に沈んでいき、私たちから見えなくなります。また、長い間には銀河系の星ぼしも年とって死に絶え、薄いガスとブラックホールだけが残される、と考えられます。さらに長い時間がたつと、不安定な素粒子も壊れていき、またブラックホールも蒸発してこわれ、安定な素粒子が薄く散らばっているだけの、さびしい宇宙になると考えられます。
私たちの宇宙の未来は、宇宙の物質の量を測ることでわかりますが、物質には光を出さないので観測できないものもあります。これを見えない物質という意味でダークマターとよんでいます。ダークマターの量は観測できる物質の10倍以上あることがわかっていますが、正確な量はわかっていません。ですから、まだ私たちの宇宙が開いているか、閉じているかはわかりません。しかし、ダークマターの量がかなり多いとしても、私たちの宇宙は開いている、そして平坦な宇宙であるという説が
現在は有力です
。
開いた宇宙
閉じた宇宙
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