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藻類は植物?
「藻類は植物?」と聞かれると少し困ります。これは、植物という言葉の曖昧さのためです。
現在の生物学的には明らかな間違いなのですが、生き物を植物と動物の二つに分ける考え方が広く用いられてきました。実際に、このHPを作成している国立科学博物館には動物研究部と植物研究部があります。また、植物を花の咲く顕花植物と、花の咲かない隠花植物に分ける方法もあり、藻類は隠花植物とされてきました。
上記の分け方では細菌や菌類のような光合成を行わない生き物も植物として扱われてきました。しかし植物を「光合成によって生きるためのエネルギーを獲得する生物(専門的には独立栄養生物と呼びます)」と定義する考え方もあります。この定義においては菌類は植物ではありません。このHPにおいて「植物プランクトン」と呼ぶときの植物は、この光合成の有無に着目した分け方です。後に述べるように、厳密な意味での植物ではないので、「植物性プランクトン」と呼ぶこともあります。
藻類のうち藍藻(シアノバクテリア)は光合成を行うので「植物プランクトン」に含めます。しかし生物としては、他の真核藻類とは明らかに異なります。
陸上植物(花の咲く種子植物、シダ植物、コケ植物)は、緑の色をもつ藻類(車軸藻類、接合藻類、緑藻類)から進化したと考えられています。そのため、それらを含めた「緑色植物」を「植物」と呼ぶことが現在では一般的です。
これ以外にも紅藻類を植物に加える考え方など様々な定義があり曖昧な用語になってしまっているので、科学用語としては「**植物」などと意味を限定して使う事が普通です。
写真: [緑の色をもつ藻類]
(左): 車軸藻類の例 カタシャジクモ(Chara globularis)
(中): 接合藻類の例 ミクラステリアス ハーディ(Micrasterias hardyi)
(右): 緑藻類の例 ミカヅキモ(Closterium acerosum)