都会ではもう難しくなりましたが、いなかのような空の暗いところに行くと、雲のような淡い光の帯が空をよこぎっているのを見ることができます。これが天の川です。夏の天の川は、カシオペア座からはくちょう座、いて座をとおって地平線の下へと続いていきます。また、冬の天の川は、カシオペア座からぎょしゃ座、そして冬の大三角の中をとおって、地平線の下へと続いていきます。南の国に行くと、日本からは地平線の下に隠れて見えない部分も、ケンタウルス座や南十字星をとおってつながっていることがわかります。天の川は空をぐるっと一周しているのです。
天の川がかすかな星の集まりであることは、紀元前400年頃にギリシアの哲学者デモクリトスが既に予想していました。しかし、実際にそのことが確認されたのは、ガリレオが自作の望遠鏡を向けた1610年のことでした。このような天の川を見て、18世紀のドイツの哲学者カントは、私たちのまわりの星はレンズ型に集まった銀河系をつくっていると考えました。レンズの内側に私たちがいて、そこからまわりを見わたしているので、レンズの半径方向に星が多く見える、それが天の川だというわけです。
このことを実際に観測的に示したのが、天王星の発見でも有名なイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルです。ハーシェルは、全天の星をたんねんに数え上げました。そして得られたのが、図のような銀河系像です。中心に太陽があり、厚みが直径の1/5ほどの円盤状をしています。当時はまだ星までの距離がよくわかっていなかったので、全体の大きさはわかりませんでしたが、ハーシェルは、銀河系の直径はシリウスまでの距離の1000倍をこえない程度の7000光年ぐらいと考えました。
銀河系が円盤状をしているということを確かめたハーシェルの研究は、すばらしい第一歩でした。しかし、現代の銀河系像は、ハーシェルの銀河系像とはだいぶ異なったものになっています。それでは、現代の銀河系像はどのようになっているのでしょう?
それは
次の質問
でお答えすることに致しましょう。
ハーシェルの考えた銀河系
天の川
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