18世紀のイギリスの天文学者ウィリアム・ハーシェルが、全天の星を数えることによって円盤状の銀河系像を得たことは、
前の質問
のとおりです。その
図
を見ると、横に2本、角のようにのびているところがあります。これは、夏の空の天の川が2つに分かれているところに対応しています。このように分かれて見えるのは、星間物質、つまり暗黒星雲が後ろの星を隠しているためですが、このことはハーシェルの時代にはまだ知られていませんでした。ハーシェルの描いた銀河系は、銀河系全体のほんの一部にすぎなかったのです。
1918年アメリカの天文学者シャプレーは、球状星団までの距離とその見える方向を調べ、球状星団がいて座の方向約5万光年先のところを中心に球状に分布していることを発見しました。この中心は、私たちの銀河系の中心と考えられました。銀河系と私たちのいる太陽系の位置関係が、初めて明らかになったのです。球状星団が南天に多く見られるのも、いて座の方向の天の川が明るいのも、このためだったのです。
その後、暗黒星雲のかなたも見通してしまう電波天文学の発展などもあって、銀河系の中心までの距離は約28000光年であることがわかっています。天の川を形づくっている円盤部分の直径は約10万光年、厚さは太陽付近で約2000光年です。また、円盤がうずまき構造をしていることも、1944年オランダの天文学者グループの電波観測によって明らかにされています。
円盤の中心部には、さらにバルジとよばれる直径15000光年ほどのふくらんだ部分があります。円盤部分に比較的若い星や散開星団、散光星雲や暗黒星雲などの星間物質が多いのに比べて、バルジ部分には年齢数十億年以上の年老いた星が多いのが特徴です。このさらに中心には、星やガス、チリが濃密に集まった直径10光年ほどの中心核があります。中心核の中には、いて座Aとよばれる直径わずか10天文単位ほどの非常に強力な電波源があり、巨大なブラックホールではないかと考えられています。
球状星団は、このようなバルジや円盤部をつつみこむように、球状に分布しているわけですが、この部分はハロといいます。ハロの直径は約15万光年で、ここには銀河系の中でもっとも古い星が存在しています。
銀河系の構造
電波で見た私たちの銀河系のうず
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