「銀河がどのくらいの遠くにある天体なのか」を調べることは、20世紀初めの天文学者にとって大きな問題でした。それは、銀河が私たちの銀河系の中にある天体なのか、それとも銀河系の外側にある別の天体なのか分からなかったからです。この問題を解決に導いたのは、ある種の
変光星
でした。
1908年アメリカの天文学者リービットは、マゼラン雲の中にあるセファイドとよばれる型の脈動変光星を調べて、変光周期の長いものほど本当の明るさが明るい、ということを発見しました(周期光度関係といいます)。この発見のおかげで、マゼラン雲やアンドロメダ大星雲が私たちの銀河系の外にある、銀河系と同じ種類の天体であることが分かりました。ただし、最初に求められたアンドロメダ大星雲までの距離は、現在知られているものとはだいぶ異なっています。それは、種族Iとよばれる若い世代の星と種族IIとよばれる年老いた世代の星では、周期光度関係が異なることや、星間物質によって星が減光していることがよく分からなかったからです。
セファイド変光星を用いると、銀河までの距離を精度良く求めることができます。銀河の中にあるセファイド変光星を見つけ、その変光周期を測ると、下の図に示す周期光度関係から、セファイドの絶対等級(本当の明るさ)が分かります。これと見かけの明るさを比べることで、距離が求まることになります。現在では宇宙望遠鏡などにより数千万光年以上の離れた銀河の距離も測ることができます。下の写真はM100銀河とハッブル宇宙望遠鏡で見つけたセファイドを示していますが、これからM100銀河の距離は5900万光年と分かります。
セファイド変光星が暗くて見つからないほど遠くにある銀河までの距離は、銀河までの距離と銀河が遠ざかっていく速度が比例していること(
ハッブルの法則
)を用いて求めることができます。この法則の比例定数を正確に求めるためにもセファイド変光星が役立ちました。
セファイドの周期光度関係
うずまき銀河M100中のセファイド
オリジナルを表示
オリジナルを表示
▲ページ先頭に戻る
Copyright (c) 1998-2008 National Museum of Nature and Science. All rights reserved.