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1. 赤潮
赤潮はプランクトンが大量発生し、海表が赤く見える現象です。色については、赤色だけでは無く茶色・褐色などになることもあります。このようなプランクトンの大量発生はある程度までは、食物連鎖を豊かにし、人間にとっても様々な魚介類が多く生存できるようになるため、好ましい側面があります。
写真: 東京湾 幕張付近の赤潮(出典: 海上保安庁ウェブページ http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/SAISEI/photo/akaao.htm)
写真: 鹿児島湾の夜光虫赤潮(撮影/提供 瀬戸内海区水産研究所 しらふじ丸)
しかし、大量発生する生物には、人にとって毒となる物質を生成したり、他の生き物を殺したりする生物が含まれやすく、その様な生き物が大量発生した場合は、人に大きな被害を与えます。
[有害藻類による赤潮]
加筆中
[有毒藻類による赤潮]
日本での有毒藻類による赤潮被害は次に述べる麻痺性貝毒・下痢性貝毒によるものが大多数を占める。
※有毒藻類は海水面を赤く着色するほど増殖していない場合にも、大きな問題を引き起こします。ここでは有毒藻類の増殖による問題を幅広く「赤潮」として紹介します。
麻痺性貝毒
アレキサンドリウム(Alexandrium属)を初めとする渦鞭毛藻類のいくつかの種類では麻痺性の毒を持っており、発生するとそれらの藻類を餌とする貝が毒を持つようになる。この毒は強力で、人が食べると、呼吸麻痺を起こして死に至ることがある。
写真: アレキサンドリウム(Alexandrium属)
下痢性貝毒
ディノフィシス(Dinophysis属)の多くは下痢性の毒を保有しており、発生するとそれらの藻類を餌とする二枚貝が毒を持つようになる。人が食べると激しい下痢や嘔吐を引き起こし、苦しむが、致命的では無いと言われている。
写真: ディノフィシス(Dinophysis属)
その他の藻類毒
その他にも渦鞭毛藻類のカレニア・ブレビス (Karenia brevis)による神経性貝毒や珪藻のプセウドニッチア(Pseudo-nitzchia属)による記憶喪失性貝毒が知られているが、日本では出現例は無い。
シガテラ毒
熱帯域や亜熱帯域の海藻や死んだサンゴの表面に付着している渦鞭毛藻類のガムビエルディスクス(Gambierdiscus)には、シガトキシンなどのシガテラ毒と呼ばれる毒が含まれ、食物連鎖を通して、魚類などに蓄積する。食物連鎖を通じた濃縮のため、食物連鎖の上位にいる魚種が問題になることが多く、また、大形の魚が毒を持っている可能性が高い。日本では沖縄で問題になることが多いが、近年は茨城県や千葉県でも発生が報告されている。日本では死亡例は無いが、後遺症が長引くこともある。近年の温暖化によって、南方系の種類が北上していることが知られており、今後、被害地域が拡大する可能性に注意が必要である。
≪注意≫
一般的な動物による食中毒はタンパク質による毒素が多いため、加熱調理を行うと安全に食べることが出来ます。しかし、ここで上げた有毒藻類による毒は、タンパク質による毒素では無いため、加熱しても毒は減りません。一方、海域ごとに定期的な検査が行われており、日本国内では毒化した貝が売られることはありません。また、有毒藻類が発生し、貝毒が疑われる場合は、ニュースで報道されると共に、海辺では立て看板などによる注意喚起が行われています。日本での貝毒による食中毒の多くは、このような注意喚起を無視して個人が潮干狩りを行って食べた事例ですので、通常は気にされる必要は無いと思います。シガテラ毒については個体差が大きく、完全に防止することは難しいと考えられています。オニカマス・バラハタやフエダイ類などの大形の肉食魚での発生が多いため、自分で釣ったこれらの魚を食べるときには注意が必要です。また、海外旅行では特に気をつけて下さい。