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2. 淡水赤潮
淡水赤潮は、海での赤潮に比べて、直接的な健康被害が生じることはありません。しかし、栄養分の少ない貧栄養湖で発生する事が多く、その様な湖沼は観光地になっていることが大きいため、景観上の問題(見た目が悪い)となります。
日本で最も大きく問題になった淡水赤潮の発生は、1977年に琵琶湖で発生した黄金色藻のウログレナ(Uroglena americana)による淡水赤潮です。
写真: 琵琶湖の淡水赤潮(撮影/提供 滋賀県琵琶湖環境科学研究センター 一瀬 諭)
写真: 琵琶湖の淡水赤潮の原因となったウログレナ(Uroglena americana)
近畿1300万人の水がめとして利用され、栄養分の少ない透明度の高い琵琶湖で突然おこった赤潮問題は、大きく取り上げられ、対応策が検討されました。リンの濃度が高くなったことが、この淡水赤潮の原因と判明し、リンを含む合成洗剤の使用をやめ、石鹸を使う運動が盛り上がりました。その結果、1979年にリンを含む合成洗剤を禁止する「琵琶湖富栄養化防止条例」が可決されました。この条例がきっかけとなり、現在、家庭用合成洗剤のほどんどにはリンが含まれていません(無リン洗剤)。
また、ダム湖ではイケツノオビムシ(Ceratium)や渦鞭毛藻類のペリディニウム(Peridinium)による赤潮が多く見られます。顕微鏡写真では茶褐色に見えますが、赤い眼点を持つため、大量に発生すると暗赤色に見えます。
写真: イケツノオビムシ(Ceratium)
写真: ペリディニウム(Peridinium)