発表会場(国立科学博物館分館)脇の
発表会当日の満開桜
2009年5月12日更新
旧石器時代人骨の形態と年代の再検討
沖縄の港川人の下顎骨について詳しい検討を行った結果、縄文人とは形態的に異なる面があることが明らかになった(海部・藤田・河野・馬場)。
沖縄のハナンダー洞穴と山下町から出土したシカ骨の齢査定を、セメント質を利用して行なえるかどうか、試してみている。しかし、沖縄の場合、セメント輪が果たして規則的にできるものかとの疑問もあり、実際には咬耗を中心とした研究になる可能性が高い(諏訪・藤田)。
沖縄の武芸洞で2007年に発掘された炭化物とマイマイ化石の年代測定を行なったところ、12,000〜15,000年前のものであることが明らかになった。洞穴の生活面はこの年代よりも新しい(松浦・近藤)。
縄文時代人骨の形態学的調査とDNA分析
DNA分析により、北海道・東北地方縄文時代人の一部はシベリア起源である可能性が示唆された(Adachi, Shinoda, et al., 2009)。
与那国島潮原遺跡出土人骨のDNA分析を行い、先島地域のグスク 時代以降の集団の遺伝的な特徴を明らかにした(Shinoda and Doi, 2008)。
2008年10月、富山市小竹貝塚から、縄文時代前期のものと思しき人骨(少なくとも2個体)が富山市教育委員会埋蔵文化財センターによって発見された。この人骨の調査・分析を依頼され、現在クリーニング中であるが、今後、形態のみならずDNA、食性分析なども行なっていく予定である(溝口)。
北部九州の縄文〜弥生移行期に関する人類学的再検討
弥生開始期の年代は500年程度遡らせるべきだとの見解に従って、改めてコンピューター・シミュレーションを行なった結果、渡来系の人々は、これまで以上に緩やかな増加率で土着縄文人を圧倒し、人口比の逆転現象を起こし得ることが示された。(中橋・飯塚、2008)。
縄文・弥生時代人の食生態
人骨試料を使って、全国的に、縄文早期・中期・後期および弥生(および続縄文)時代での食生態を検討した。結果、植物と魚類の組みあわせという視点では、弥生時代においても、縄文時代から食生態に大きな変化は見られないことが明らかになった。(米田ほか、2008)。
頭蓋・四肢骨計測値の地理的変異パターンにおける時代間差の分析
縄文・古墳時代の頭蓋・四肢骨計測値と気温などの環境変数との間の試行的な分析を行なったが、引き続きデータを増やし、再分析を行なう予定である(溝口)。
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旧石器時代人骨の形態と年代の再検討
縄文時代早期人骨の形態学的調査とDNA分析
北海道出土の縄文・続縄文時代人骨のDNA分析
弥生時代の枠組み変化による日本人起源仮説への影響の検討
関東弥生時代人の年代・食性・形態の再検討
頭蓋・四肢骨計測値の地理的変異パターンにおける時代間差の分析