[[[[ 縄文時代早期人骨の形態学的調査とDNA分析 ]]]]
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**** 「更新世から縄文・弥生期にかけての日本人の変遷に関する総合的研究」研究班 ****
2008年3月7日更新
■ 栃原岩陰遺跡出土縄文時代早期人骨の形態学的調査とDNA分析 (馬場、坂上、海部、河野、篠田、安達)
1965〜1966年、信州大学と松本博物館によって、長野県栃原岩陰遺跡から縄文時代早期の人骨が発見された。縄文時代中・後・晩期の出土人骨は比較的多く、その特徴もかなり詳細に研究されているが、早・前期のものは出土例が少なく、まだその全体像はおぼろげにしか見えていない。
そのような状況であるにもかかわらず、この貴重な資料は十分には分析されてこなかった。ところが、最近、この資料の研究が国立科学博物館人類研究部に任されることになり、形態とDNAの両面からの分析に着手した。
現在、顔面を含む頭蓋がほぼ完全な形で保存されている人骨の観察を終わり、報告書を作成すべく取りまとめ中である。また、歯根と肋骨のDNA分析も試み、結果として歯根1本からデータを得ることに成功した。この分析結果も現在公表準備中である。
■ 上黒岩岩陰遺跡出土縄文時代早期人骨の形態学的調査 (中橋)
愛媛県上黒岩岩陰遺跡出土の縄文早期人骨は、1961〜1970年に発掘され、ほとんど未報告のままになっていたが、その人骨25体(成人男性2,女性6,性不明成人2,未成人15)について整理、分析を行った。その結果、子供の死亡率の高さや人骨の性判定について、また、鹿骨製の骨槍が刺さったまま出土した事で知られる寛骨や、著しく華奢な男性として報告されたことのある人骨について見直しが必要であることなどが明らかになった。この見直しの結果は、2007年10月の第61回日本人類学会大会で発表した
(中橋・岡崎, 2007)。
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