港川人1号男性頭蓋
2008年12月12日更新
■ 旧石器時代人骨の形態の再検討
(2)三次元マイクロCTデータを使った高精度な脳容量推定法を港川人1号頭骨に適用した結果、その脳容量は従来の推定値(1390cc)よりもかなり小さい(1335cc)ことが明らかになった (久保・河野・諏訪, 2006)。さらに、この港川1号のCT画像から作成されたエンドキャストのサーフェスモデルを対象に基礎的な観察と計測を行った結果、港川1号の側頭葉は、現代日本人のものに比べて、明瞭に外側に突出していることなどが示された(久保・河野, 2008)。
(3)港川人の身長はすでに推定されているが、新たに脊柱と頭の高さを考慮して再推定した (馬場・瀬口, 2007)。
(4)沖縄の山下町洞穴から出土している旧石器時代の子ども人骨を縄文時代の子ども人骨と詳細に比較した結果、山下町洞人はホモ・サピエンスとして矛盾がないことが判明した (藤田・水嶋・近藤・海部, 2007)。
(5)これまで比較分析が行われていなかった港川人の下顎骨を、早〜前期も含めた縄文時代人などの下顎骨と比較して、港川人の位置づけについて再検討した (海部・藤田・河野・馬場, 2008)。
(6)港川人の大腿骨および脛骨の形態的特徴についても、写真計測に基づいて、早〜前期を含めた、より多くの縄文時代人骨と比較することによって、再検討を行なった (藤田・水嶋・近藤・馬場・海部, 2008)。
■ 旧石器時代人骨の年代の再検討
■ 旧石器時代遺跡の予備調査
沖縄、ハナンダー洞穴の入り口
2008年12月8日
■ 旧石器時代人と縄文時代人の系統関係分析
(1)マハラノビスの汎距離を使ったクラスター分析にブートストラップ確率を与える計算プログラム、ならびに「ティピカリティ確率(ある標本個体がある集団の一員である確率)」を推定する計算プログラムを開発した。実際にこれらのプログラムを使って縄文時代人とアジア・オーストラリアの旧石器時代人の類似関係を再検討し、2007年6月に開催された第21回太平洋学術会議におけるシンポジウムでその結果を発表した。(溝口・馬場)
(2)港川人と縄文時代人の眉間部の表面三次元形態をレーザー数値化システムにより数値化し、主成分分析によって検討した結果、港川人特有の形態と港川人・縄文人時代人共通の特徴を量的に明らかにすることができた (佐宗・松川・諏訪, 2006)。
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縄文時代早期人骨の形態学的調査とDNA分析
北海道出土の縄文・続縄文時代人骨のDNA分析
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