2025年1月(第103)号
見慣れない魚が釣れるようになった、よく見かけていた虫がいなくなったなど、身近な自然の異変を心配する声が聞こえてきます。

今号の特集では、環境中に含まれる生物のDNAから、そこに生息する生物種を把握することを可能にした環境DNA調査を取り上げました。

これまでは捕獲したり、実際に潜ったりしない限り見えなかった海や川の魚も、この手法により、水を汲むだけで調べることができるようになりました。さらに、ある生物の分布域が温暖化の影響で寒冷地へシフトしていくといった、大規模な変化を捉えるのにも有効です。

サンプルを集める方法は簡単で、市民や学生など多くの人々が参加できるため、環境DNA調査は、地域の自然を理解し保全するための重要なツールになると期待されています。

本号の特集では、いま普及しつつある環境DNA調査はどのようなものか、どのように役立つのかなど、さまざまな視点からわかりやすく紹介しています。
【特集】 環境DNAで探る生物情報 3
  水に残された生き物の痕跡から、
生物多様性のデータベースをつくる
4
  バケツ一杯の水からすんでいる魚がわかる技術 6
  海運の現場で環境DNAを集める 9
  多様な昆虫類の現状を知るために 12
  環境DNA調査の広がりと今後の期待 15
Focus 科学者の探究心にせまる ―蚊は吸血小器官を知っている!?―
蚊が血を吸い、味わうしくみの謎に迫る
18
チャレンジ!! 科学冒険隊 #102 光のマジックに挑戦! 22
生き物たちの不思議な関係 第13回 甲殻類に寄生する甲殻類
フクロムシの奇妙な生存戦略
26
かはくレポート ミャンマーの自然史解明に向けた取り組み (国際協力編) 30
次号予告/定期購読のお知らせ/編集後記   34