全球型映像施設「クラスメソッド シアター36○」
「シアター36○」とは、2005年「愛・地球博」の長久手日本館で人気を博した「地球の部屋」が国立科学博物館に移設され、「THEATER36○(シアター・サン・ロク・マル)」として生まれ変わりました。直径12.8m(実際の地球の100万分の1の大きさ)のドームの内側すべてがスクリーンになっていて、その中のブリッジに立ち、映像をご覧いただけます。360°全方位に映像が映し出され、独特の浮遊感などが味わえる世界初のシアターです。
当館では、これまでに制作した7本のオリジナル映像を上映しています。
360°の音と映像に包まれる体験を一度味わってください。
トピックス
利用方法
上映時間 |
9:30(初回上映)〜16:30(最終回上映) |
上映内容 |
- ・1回の上映は約6分です。
- ・当館オリジナル映像1本を上映します。
- ・各プログラムは繰り返し上映されます。
- ・スケジュールは下をご覧下さい。
- ・上映スケジュールは、都合により変更になる場合がございます。
- ※ 耳が不自由な方向けの番組パンフレットはこちらです。
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会場 |
日本館地下1階 |
利用料金 |
常設展入館料でご覧いただけます。
*詳細はアクセス・利用案内をご参照ください。 |
諸事項 |
- ・各回の定員は40名です。
- ・最終上映は定員に達し次第受付終了となりますので、予定時刻より早く 終了する場合があります。
- ・鑑賞は先着順・入替制となります。
- ・グループでご鑑賞される方は全員でお並びください。
- ・立ち見のため、座席はございません。
- ・上映途中の入場・退出はできません。
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注意事項 |
映像の特性上浮遊感やスピード感があり、ご気分が悪くなるおそれがあります。特に、「小さいお子様」、「体調のすぐれない方」、「妊娠中の方」、「ご高齢の方」、「心臓疾患をお持ちの方」などは充分ご留意ください。 また、「飲酒をされている方」、「付き添い者のいない未就学児童」、「未就学児童の団体」のご入場はご遠慮願います。 |
禁止事項 |
- ・シアター内での飲食
- ・上映中の撮影(写真・動画)、録音
- ・携帯電話の使用
- ・火気の使用
- ・肩車
その他は係員の指示に従ってください。 |
上映スケジュール
2024年
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8月 |
深海 −潜水艇が照らす漆黒のフロンティア− |
9月 |
海の食物連鎖 −太陽からクロマグロをつなぐエネルギーの流れ− |
10月 |
恐竜の世界 −化石から読み解く− |
11月 |
3万年前の大航海 −ホモ・サピエンス日本上陸− |
12月 |
マントルと地球の変動 −驚異の地球内部− |
2025年
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1月 |
深海 −潜水艇が照らす漆黒のフロンティア− |
2月 |
恐竜の世界 −化石から読み解く− |
※上記以降、決まり次第お知らせいたします。
当館オリジナル映像
3万年前の大航海−ホモ・サピエンス日本上陸−
ナレーター:満島 ひかり
最初の日本列島人は、3万年以上前にどうやって広い海を越え、列島へたどり着いたのか? 当時の大航海を研究して再現しようと、国立科学博物館が実施したのが「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト(2016-2019)」。本作品では、丸木舟で台湾から与那国島へ渡った200キロメートルを超える実験の映像をもとに、祖先たちの航海を体験することができます。
- Scene 1
現代のサキタリ洞遺跡
- 沖縄の島にある洞窟で、3万年前頃の人の生活の跡が見つかりました。世界で最も古い釣り針やビーズに加えて、大量に見つかるのはカニの爪。この洞窟は、旧石器人がカニを食べにくる場所だったようです。それにしても、彼らは、どこからやって来たのでしょう?
- Scene 2
3万数千年前の地球
- 3万数千年前は氷期。海面が下がり、陸が広がっていましたが、それでも沖縄を含む日本列島の大部分は、海に囲まれていました。つまり最初の日本列島人は、海を越えてやってきたのです。彼らがどのように海を渡ったのか、丸木舟に乗って体験してみましょう。
- Scene 3
3万年前の大航海
- いよいよ実験航海のはじまりです。出発地は台湾で、目指すは200キロメートル以上先の沖縄県与那国島。行く手には、世界最大規模の強大な海流「黒潮」が流れ、目標の与那国島は、水平線の彼方で見えません。無事にたどり着けるよう、しっかりと舟を操ってください。
深海 -潜水艇が照らす漆黒のフロンティア-
ナレーター:窪田 等
深海は真っ暗で低温、そして高い水圧がかかる過酷な環境です。深海底の大部分は一面泥に覆われ、生物も乏しい砂漠のような世界です。しかし深海にもオアシスのような生物の楽園が存在し、それが海底熱水活動域です。ここには熱水に含まれる硫化水素やメタンから有機物を合成する微生物に支えられた特異な生物社会が存在しています。(画像提供:JAMSTEC(海洋研究開発機構))
- Scene 1
無人探査機で深海を目指す
- 深海とは水深200mよりも深い場所のことです。この水深では太陽の光が届かなくなり、漆黒の世界となります。地球の海の9割以上が深海ですが、そのほとんどが人類未踏の地です。無人探査機に360˚カメラを取り付け、母船から着水して駿河湾・沖縄トラフの深海底に到着するまでを、実写で撮影しました。
- Scene 2
駿河湾の深海底
- 光合成ができない深海では、多くの生物のエネルギー源はより浅いところから落ちてくる生物の死骸や排せつ物に限られます。潜水艇が海底に餌を置くとすぐに匂いを嗅ぎつけたオニヒゲ・カナダダラやホラアナゴの仲間たちが集まってきて、貴重な食べ物をめぐって激しい奪い合いが始まります。足元には沢山のクモヒトデも生息しています。
- Scene 3
沖縄トラフの海底熱水活動域
- 海底火山付近では300℃を超えるような高温の熱水が噴出している場所があります。ここでは熱水に含まれる硫化水素やメタンから有機物を合成する微生物に依存する特異な生態系が存在しています。熱水噴出孔周辺の海底はシンカイヒバリガイとゴエモンコシオリエビがびっしりと生息し、白いオハラエビが活発に泳ぎ回っています。
人類の旅 −ホモ・サピエンス(新人)の拡散と創造の歩み−
ナレーター:増田 晋
人類はアフリカで誕生し、猿人、原人、旧人、そして新人(ホモ・サピエンス)へと進化してきました。ここでは、化石やDNAなどの研究から、近年急激に解明が進んできた人類進化の道筋をたどります。そのクライマックスを飾るのは、次々と新しい文化や技術を生み出すことによって可能となった、わたしたちホモ・サピエンスの世界中への大拡散です。
- Scene 1 人類の夜明け
- アフリカで誕生した最初期の猿人たちは、樹上と地上の両方を舞台として暮らしていました。彼らラミダス猿人たちの生きていた姿を、最新の化石研究の成果に基づいて復元します。サルでもヒトでもないその姿は必見です。
- Scene 2 進化し多様化する人類
- 猿人から原人、旧人、ホモ・サピエンスへとつらなる人類進化の流れを、それぞれの分布域の広がりを見ながら解説します。シーンの最後には、CGで復活した猿人や原人たちが、来場者の皆さんを取り囲みます。
- Scene 3
ホモ・サピエンスの登場と
世界への拡散
- 私たちホモ・サピエンスは、それ以前の人類たちが越えられなかった自然障壁を乗り越え、世界中へと大拡散を遂げました。その壮大な歴史のいくつかの場面を復元します。圧巻の洞窟壁画、楽器のほか、極寒の地への進出を可能にしたマンモスの骨の家や、海洋上の島々への進出に使われた古代カヌーが登場します。
宇宙138億年の旅 -すべては星から生まれた-
ナレーター:竹中 直人
宇宙は138億年前のビッグバンによって始まりました。生まれたての宇宙は、想像を絶する高温・高密度でした。宇宙はその後膨張を続け、水素ガスのかたまりから最初の星が誕生しました。さらに網の目状の大規模構造の中で、無数の星や銀河が誕生しました。その中のひとつが天の川銀河です。そこで太陽が生まれ、私たちの地球が誕生しました。人間のからだも、もとは星の一部だったのです。
- Scene 1 ビッグバン
- ビッグバンは、現在の宇宙にあるすべての物質の始まりであり、時間や空間もここから始まりました。最初の3分間にあらゆる物質の元になる素粒子が生まれ、陽子や中性子から水素やヘリウムなどの原子核が作られました。38万年後、電子が原子核に捉えられ、宇宙の視界が一気に開けました。「宇宙の晴れ上がり」です。
- Scene 2 超新星爆発
- 最初の星は太陽の数百倍もある重い星でした。星の内部では、核融合によって水素からヘリウムが作られ、さらにヘリウムから炭素や酸素、鉄など重い元素が作られます。中心が鉄でいっぱいになると大爆発を起こします。超新星爆発です。この時、鉄よりも重い金や銀などの元素がつくられます。こうして生まれた元素が宇宙に飛び散り、次世代の星の材料になります。
- Scene 3 太陽の誕生
- ガスやチリが集まってできた分子雲の中で、およそ100万年かかって、水素ガスのかたまり「太陽のたまご」ができます。「太陽のたまご」はさらにガスやチリを集めて円盤状になり、中心に原始星と呼ばれる「太陽の赤ちゃん」が生まれます。この「太陽の赤ちゃん」を中心に太陽系が作られ、 私たちの地球が誕生するのです。
海の食物連鎖 -太陽からクロマグロをつなぐエネルギーの流れ-
ナレーター:竹中 直人
地球上にはじめて生命が誕生したのは、約40億年前。今では175万種をはるかに超える生物が存在しています。その内の多くは、太陽の光エネルギーを生きるための食物に変え「食う・食われる」を繰り返しながらリレーしていく「食物連鎖」というネットワークの中で暮らしています。ここでは、地球表面の70%を占める海で、太陽の光エネルギーがどのように生物から生物にリレーされていくのかを見ていきます。
- Scene 1 太陽と植物プランクトン
- 沿岸の浅い海では、様々な海藻が太陽の光エネルギーをうけて光合成をおこない有機物をつくりだして成長しています。一方、何もいないような外海でも、様々な変わった形をした数µmから1mmほどの微小な植物プランクトンが、海中に漂いながら太陽の光エネルギーをうけて光合成をおこない分裂して増えています。
- Scene 2
マイワシの口と鰓耙(さいは)とコペポーダ
- この微小な植物プランクトンは、それより大きい動物プランクトン(コペポーダやオキアミ類など)にこし集めるように食べられ、太陽エネルギーは一回り大きく蓄えられます。この動物プランクトンをイワシやサンマが海水ごと飲みこみ、エラの付け根の鰓耙(さいは)という細かいクシでこして食べます。
- Scene 3 スルメイカとマグロ
- スルメイカはイワシやサンマが大好物です。自由自在にうごく十本の腕でイワシやサンマを捕えて抱え込み、硬いくちばしで肉をかみちぎって食べます。さらに、スルメイカを狙って魚類の王者クロマグロが迫ってきます。墨をはいて逃げるスルメイカ、でもクロマグロにかかっては、ひと呑みされてしまいます。
恐竜の世界−化石から読み解く-
ナレーター:ピーター・バラカン(Peter Barakan)
恐竜化石はたいてい骨や歯だけで、映画のように生きた恐竜の世界を科学的に正確に再現するのは不可能です。しかし、骨や歯の形や関節の形から、彼らがどのように動き暮らしていたか、その一端を想像できることがあります。国立科学博物館の恐竜展示室のトリケラトプスが生息していた白亜紀最末期の北アメリカの世界を想像してみましょう。
- Scene 1 現代
- 国立科学博物館のトリケラトプスは世界でもっとも完成度の高いトリケラトプス標本です。地層の中に横たわっていた姿勢で展示しています。この標本の研究からトリケラトプスの前あしの形や動かし方が明らかになりつつあります。この化石が発見されたアメリカのノースダコタ州に行ってみましょう。そこは、現在は乾燥した荒野ですが、6600万年前の白亜紀最末期には緑豊かな平原や森でした。
- Scene 2 6600万年前
- ティラノサウルスは死骸をあさることしかできなかったと言われることもありますが、生きたトリケラトプスを襲ったという証拠が最近見つかりました。彼らは絶滅してしまいましたが、恐竜の一部は現在も鳥として進化し続けています。恐竜は鳥類を除いて約1000種学名がつけられていますが、それは恐竜の全多様性の氷山の一角にすぎません。まだ大部分の恐竜が地面の下で私たちとの出会いを待っています。
マントルと地球の変動−驚異の地球内部-
ナレーター:ピーター・バラカン(Peter Barakan)
プレートの運動によって大陸は分裂移動し、中央海嶺で生まれた海洋底は海溝から地球内部へ沈み込んでいます。そして地震や火山噴火をおこしながら、ときに大山脈も形成しています。これらの変動を解明するカギは数億年かけてゆっくりと循環するマントルの動き。見ることのできない地球内部に入り込み、マントル深部からの上昇流と表面近くからの下降流による対流を追いかけます。
- 参考図
- 地球の内部は岩石からなる地殻とマントル、鉄からなる核という層構造をしています。地震波を使った「トモグラフィ」によって、日本海溝から沈み込んだ太平洋プレートがユーラシア大陸の下に横たわっており、ホットプルームが南太平洋とアフリカの下に存在する様子がわかります。
- Scene 1 ホットプルーム
- 海溝から沈み込んだプレートは、重たくなるとマントル深部へと落込んでいきます。それにかわりマントル深部の別のところから上昇してくるのがホットプルームです。地表へ向かったプルームは、表面近くで小さく分かれて火山噴火を起こしたりします。
- Scene 2 引き裂かれる大地
- アフリカ東部の大地溝帯は、大陸が引き裂かれている巨大な割れ目で、そこには多くの活火山や湖があります。大陸を割る動きは、地下深部にある巨大なホットプルームに関係があると考えられています。このまま拡大していくと紅海やアデン湾のように、海が入り込んできます。