国立科学博物館は、様々な分野の研究者を有し、数多くの標本・資料、膨大な研究成果を蓄積しています。そして、これらの資源を活用するとともに、大学の研究者や学会、他の博物館や企業など、国内外の様々な機関とも連携して、魅力ある展示や学習支援活動を開発・実施しています。人々が科学的に考え、合理的に判断し行動できる「科学リテラシー」を育むため、国立科学博物館では社会と科学のコミュニケーションを促進します。
展示事業については、上野本館を中心に、三地区において展開する常設展の他、人々の興味や関心の高いテーマで特別展や企画展を実施するなど、より多くの人々に訪れていただけるよう多彩で魅力的な展示活動を行っています。また、学習支援事業については、自然科学の様々な分野に関する専門的で多様な学習機会を提供するとともに、展示を活用して科学リテラシーの涵養を図るためのモデル的プログラムの開発・普及や、学校との連携強化のためのシステム構築など、先導的な事業の開発・普及に努めています。
上野本館
良質で豊富な実物標本・資料を中心に、メッセージ性を重視することにより、常設展示のメインメッセージである「人類と自然の共存をめざして」を体系的に、わかりやすく伝えられるよう、フロアごとに展示テーマを設けた展示構成としています。「生き物たちが暮らす地球の環境を守り、人類と自然が共存可能な未来を築くために、どうすればよいのか」を人々と共に考えていきます。
[日本館]
「日本列島の自然と私たち」をテーマとする日本館では、日本列島の自然と生い立ち、日本人の形成過程、そして日本人と自然のかかわりの歴史を展示しています。私たちが、日本の自然環境や文化に愛着と誇りを持ち、同時に外国の人々にもわかりやすく伝えることができるような展示です。
[地球館]
「地球生命史と人類」をテーマとする地球館では、地球の多様な生き物が、お互いに深く関わり合って生きている姿、地球環境の変動の中で生命が誕生と絶滅を繰り返しながら進化してきた道のり、そして、人類の知恵の歴史を展示しています。
筑波実験植物園
園内は「世界の生態区」と「生命を支える多様性区」の2つに分けられ、約3,000種の植物が展示されています。
生態区には、日本の代表的な植生を再現した屋外と熱帯雨林温室、サバンナ温室があり、世界の植物の多様性が体験できます。熱帯資源植物温室を含む多様性区では、人類が様々に利用してきた植物の多様性を展示しています。
筑波実験植物園は、植物観察の他、観賞・憩いの場でもあり、児童・生徒等の校外学習にも利用されています。
詳細については筑波実験植物園のページをご覧下さい
附属自然教育園
自然教育園は、文化財保護法に基づき天然記念物及び史跡に指定されている文化財です。園内には植物の標準和名表示、解説板が整備されており、自然を深く知ることができるように工夫されています。
また、入園者を対象とした日曜観察会、自然史セミナー、子ども自然教室、指導者層を対象とした自然観察指導者研修など、職員の専門性と当園の自然を活かした学習支援活動を行っています。さらに、児童・生徒等の校外学習にも利用されています。
詳細については附属自然教育園のページをご覧下さい
当館の研究成果を広く人々に普及するとともに、企業、大学等関係機関との積極的な連携・協力により多様な展示を実施しています。展示方法や解説などに創意工夫を凝らし一般の人々にとってわかりやすい展示となるよう努めています。
詳細については特別展・企画展・ミニ企画展等のページをご覧ください。
こどもから大人までを対象にした多彩な事業
こどもから大人まで幅広い人々を対象に、当館の資料や研究成果など高度な専門性を活かした独自性のある学習支援活動を展開しています。
学校との連携強化
学校と博物館が、相互の独自性を活かした学習プログラムの開発実施、教員の博物館理解促進を行っています。さらに地域の博物館等と協働で、学校と博物館の連携強化に取り組んでいます。また、大学生の科学リテラシーおよびサイエンスコミュニケーション能力向上等に貢献するため「国立科学博物館 大学パートナーシップ事業」を実施しています。
サイエンスコミュニケーションを担う人材の育成
人々の科学や科学技術に対する理解・意識の向上のために、科学・技術と社会の 架け橋となる人材育成プログラムを開発・実施しています。
「つながる知の創造」を目指し、理論を学び、それを踏まえた実践を行い、さらに実践で生じた疑問等について、再度理論に立ち返って考える理論と実践の対話型カリキュラムです。SC1修了後、SC2を修了すると「国立科学博物館認定サイエンスコミュニケータ」として認定されます。
詳細についてはサイエンスコミュニケータ養成実践講座のページをご覧下さい。
学芸員の資格取得を目指す大学生を対象に研究部等での調査研究、標本資料の収集・保管を体験するコースと展示室での学習支援活動の企画開発を体験するコースを実施しています。
詳細については博物館実習生受け入れ指導事業のページをご覧下さい。
国立科学博物館ボランティア
上野本館、筑波実験植物園、附属自然教育園の三地区において、当館のボランティア制度があります。 上野本館では昭和61年からボランティア制度導入しており、「かはくボランティア」が展示案内、各種講座や観察会、研修などの学習支援事業において活動しています。特に、「フロアガイド」と「かはくのモノ語りワゴン」では、来館者に直接語りかけることで、展示室内においてサイエンスコミュニケーションを図っています。
また、筑波実験植物園では「植物園ボランティア」として、さらに附属自然教育園においても平成31 年4 月から新たなボランティア制度の下、「自然園ボランティア」として、各地区における園の案内や学習支援事業に関わる活動を積極的に行っています。