昭和記念筑波研究資料館
昭和天皇が長年にわたり収集された自然史標本・資料等は皇居内生物学御研究所に収蔵されていた。この貴重なコレクションが国立科学博物館に移管されることを記念して,昭和記念筑波研究資料館が1993年6月に設立された。当研究資料館は,1993年から1995年にかけて移管された動植物標本(鳥類は除く)60,000点以上を収蔵している。これらは,昭和天皇が相模湾や那須地方,皇居を中心に収集された標本であり,収蔵標本の中には昭和天皇が研究された変形菌類約3,000点,ヒドロ虫類約4,000点に加え,貝類等の軟体動物約20,000点、甲殻類約4,000点、魚類約2000点、維管束植物約17,000点等が含まれている。これらの標本は昭和時代60年間に相模湾や那須地方,皇居において継続的に採集されており、当時の生物相を理解する上で欠かすことができない。また、これらのコレクションには,主に相模湾から得られた約400種の海産生物をはじめとして新種記載の基準となった非常に多くのタイプ標本が含まれている。
当研究資料館では,移管標本類に関する分類学的な研究を行うとともに、貴重なコレクションを内外の研究者に公開している。また、昭和天皇が継続的に調査・採集を行っていた相模湾及びその周辺海域において新たに標本を収集し,過去の調査結果と比較検討し,本地域の生物相の変遷について研究を進めている。