標本資料の収集・保管体制の整備

標本資料の収集と管理

博物館に収集、保管された標本・資料は、人類共有の知的財産です。 それらは研究・教育のために公開され、将来にわたって研究素材として活用されます。 どの国においても、博物館のコレクションを充実させ、次世代へ継承していくことが、きわめて重要であると広く認められています。 それは、これらの標本・資料から研究を通して得られるさまざまな情報が、人類の未来にとって非常に有用であることが期待されるからに他なりません。 このような知的財産を収集し、保管し、更にそれらを研究することは、他の機関や組織では代行できない博物館だけが有する独自の役割です。

博物館の標本・資料は、将来にわたって新たな発見が期待される研究素材であるばかりでなく、研究の結果得られた論理・結論を保証する物的証拠でもあります。 人類共有の知的財産であるこれらの貴重な標本・資料を永久的に安全に管理することが、博物館に課せられた最も重要な課題なのです。

わが国の自然史系および科学・技術系博物館を代表する当館でも、タイプ標本を含めた自然史標本および科学・技術資料の収集努力が続けられており、分野によっては世界有数の博物館レベルに達しつつあります。 最近では、生命の誕生以来40億年にわたり途切れることなく受け継がれてきたDNA情報も解析され、保存されつつあり、生物の多様性や固有種の歴史解読のため遺伝子のモニタリングもなされようとしています。 また、筑波実験植物園や附属自然教育園では、生体そのものの育成保存がなされており、絶滅危惧植物などの保全のための収集や研究を行う実験研究施設としても期待されています。


標本・資料統合データベース

標本資料を全館的に管理するためには統一的な書式で構築されたデータベースが必要です。「標本統合データベース」は標本データを効率的にデータベース化するとともに標本管理を適切に行うために構築されました。標本統合データベースは研究に役立つばかりではなく、当館の様々な活動に活用されます。また、標本統合データベースは標本情報をサイエンスミュージアムネットやGBIFへ自動的に提供する機能も備えています。標本統合データベースによって、当館が日本の自然史及び科学技術史のセンターとしてさらに貢献することが可能になりました。