地学研究部

アンモナイト・コレクション
当館所蔵のアンモナイト・コレクションには、以下のようなものがあります。

北海道の白亜紀アンモナイト

 北海道は白亜紀アンモナイトの世界的な産地の一つです。浦河から夕張・幌加内を経て宗谷岬にいたる北海道中央部と、釧路から根室にいたる北海道東部からアンモナイトが多産します。これらの地域には、白亜紀に海で堆積した地層が広く分布し、アンモナイトの研究を行う格好のフィールドになっています。これまでに500種類以上のアンモナイトが見つかっています。当館には、川下コレクション、宮内・佐伯コレクション、嶋貫コレクションをはじめ、当館や国内の研究者によって採集されたアンモナイトが多数収蔵されています。

  1. 川下コレクション
    川下由太郎氏(故人)が30年以上にわたって採集された数千点にもおよぶ北海道産アンモナイトを中心としたコレクションです。新種の記載のもとになった標本(模式標本)をはじめ、学問上極めて重要な標本も多く含まれています。
  2. 宮内・佐伯コレクション
    宮内敏哉・佐伯年雄両氏(いずれも故人)が北海道稚内市宗谷地方から採集された数百点の白亜紀アンモナイトのコレクションです。宗谷地方産アンモナイトとしては最大のコレクションで、模式標本も多数含まれています。
  3. 嶋貫コレクション
    嶋貫年男氏が北海道各地から採集された数百点の白亜紀アンモナイトのコレクションです。既に採集が困難になった地域の化石を多数含んでいます。
  4. 村本コレクション
    村本辰雄氏(故人)により提供された北海道各地から採集されたアンモナイトのコレクションです。三笠地域産のものが多く含まれています。
  5. 二上コレクション
    二上政夫氏により寄贈された北海道三笠地域や万字地域産のアンモナイトのコレクションで、二上氏が研究された標本(模式標本を含む)が多数含まれています。
  6. 日高町のアンモナイト
    科博専報 (1973年)で小畠・前原・津田が報告した北海道日高町周辺で採集された白亜紀アンモナイトのコレクションです。日高町の地質と化石を知る上で、重要なコレクションです。
国内のアンモナイト(北海道以外)
 北海道以外のアンモナイト・コレクションとしては、小畠郁生氏や松川正樹氏により研究・記載された銚子や宮古地域の白亜紀前期のアンモナイト、佐藤正氏により寄贈された日本各地のジュラ紀アンモナイト、横浜国立大学から移管された日本各地のジュラ紀や白亜紀アンモナイトなどが当館に保管されています。
サハリンの白亜紀アンモナイト
 北海道の中央部に分布する白亜紀の地層は、さらに宗谷海峡をわたり、ロシア共和国のサハリン中・北部まで分布します。北海道と同様に多数のアンモナイトが産出します。当館には、1990年から1999年まで数回にわたって行われた地質調査の際に採集されたアンモナイトが多数収蔵されています。マカロフ地域から採集されたアンモナイトは、当館のモノグラフシリーズ31で図示、記載されています。
極東ロシアやアラスカのアンモナイト
 当館の研究者により、ロシア沿海州の三畳紀アンモナイトと北カムチャッカやアラスカの白亜紀アンモナイトの研究が進められています。これまでに多数の化石が採集され、当館に収蔵されています。現在、記載にむけて剖出作業などを行っています。新種も多数含まれていると思われ、重要なコレクションになると期待されます。
モロッコの白亜紀アンモナイト
 松任谷滋氏により寄贈されたモロッコ産の白亜紀アンモナイトのコレクションです。
その他のアンモナイト
 当館の研究員により、世界中からアンモナイトが採集され、当館に収蔵されています。代表的なものは、南インドの白亜紀アンモナイト、カナダやアメリカの三畳紀や白亜紀アンモナイト、ドイツのジュラ紀アンモナイト、アメリカの古生代後期アンモナイト、モロッコのデボン紀アンモナイトです。

Hyperpuzosia tamon Matsumoto, Kawashita & Takahashi 白亜紀前期
北海道産(川下コレクション)



Pachydiscus soyaensis Matsumoto & Miyauchi 白亜紀後期
北海道産(宮内コレクション)



Nipponites mirabilis Yabe 白亜紀後期 北海道産(嶋貫コレクション)



Gaudryceras makarovense Shigeta & Maeda 白亜紀後期
ロシア・サハリン産



Diplomoceras cf. notabile Whiteaves 白亜紀後期
ロシア・サハリン産