地学研究部

ベンガル深海扇状地の砕屑物
 ヒマラヤの形成史を海底堆積物から調べるという、新しい視点からの解析に用いられた資料で、深海掘削船ジョイデス・レゾリューション号により、ベンガル深海扇状地で掘削されたコアから採取されたものです。 ベンガル深海扇状地にたまった砕屑物は、ヒマラヤの浸食によって供給されたものであるため、そこで掘削して得られた砕屑物の構成鉱物を古い方から順に調べると、ヒマラヤに露出していた岩石の変遷史を推定することができます。 掘削コアは約1700万年前から現在までわたっており、数cmごとに採取された試料にもとづいて、鉱物組成がどのように時代とともに変化してきたかが調べられています。 同定された鉱物粒子は数万点にのぼり、それらの量比の変化から大きく6つのゾーンが区分され、さらにゾーン毎に約1万点の鉱物の化学分析がなされた結果、鉱物粒子の起原が考察されたものです。 イルメナイト(チタン鉄鉱)の例を図示しますが、標本資料とデータはヒマラヤの形成史に関わる比較研究用に活用されます。 最近では、砕屑物粒子についてU-Th-Pb法による年代測定を行ない、供給地の具体的な推定を試みつつあります。

鉱物の分析に用いられるエネルギー分散型分析装置
鉱物の分析に用いられるエネルギー分散型分析装置

掘削地点 Sites 717-719
掘削地点 Sites 717-719

MnO content(wt%)
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