大西洋深海底の岩石
本コレクションは、大西洋の深海底から採取された玄武岩、ドレライト、はんれい岩、かんらん岩などからなるもので、固体地球科学に関わる多くの研究者によって比較研究に活用されています。 これらの岩石は、地球科学の革命といわれる現在の地球観プレートテクトニクスが確立する前に、米合衆国のウッズ・ホール海洋研究所の海洋観測船アトランティス号、ラモント・ドハティ地質研究所の海洋観測船ベーマ号やロバート・コンラッド号が大西洋を中心に調査を行なったときに、深さ3000〜7000mの深海底からドレッジによって採集されたものです。 それには、大西洋中央海嶺のアトランティス断列帯、ロマンチ海溝、プエルト・リコ海溝、リオ・グランデ海膨などからの試料がふくまれています。
いずれもニューヨーク州立大学の都城秋穂名誉教授と共同研究者によって岩石学的研究がなされ、国際誌に発表されており、海底の性質や構造を知るうえで貴重なデータを提供したものです。 その成果は、海洋地殻と大陸地殻の性質が異なることを明らかにし、1968年以降にはじまる国際深海掘削計画の先駆けとなりました。 この標本については『岩石標本カタログ』(1)に公表しており、海底誕生のマグマ活動の研究などに資料と薄片が利用されています。
『岩石標本カタログ』(国立科学博物館 発行)は分館図書室でご覧いただけます。
大西洋深海底の採取地点
分館資料棟の岩石標本庫に収納されている大西洋深海底からの苦鉄質および超苦鉄質火成岩類の標本