地学研究部

国際深海掘削計画の微化石
 国際深海掘削計画で採取された微化石標本のコレクションです。 当館は、世界15ヶ所に設置・運営されている微古生物標本・資料センターのうち、アジアを代表するセンターとして微化石標本を作成・保管し、研究者の利用に供しています。 コレクションは2万点をこえ、1年に1,000〜3,000点づつ増え続けています。 国際深海掘削計画 (DSDP: Deep Sea Drilling Project, ODP: Ocean Drilling Program)は、1968年8月に始められ、現在も継続している国際共同研究です。 計画前半では642地点が掘削がされ、海洋底拡大説を証明し、地球科学史上最大の成果である「動的地球観」が確立されました。

 この計画で採取された膨大な量の堆積物や岩石試料は、成果を検証する試料であるとともに、新しい視点からの研究素材でもあります。 試料中の微化石を、成果の検証あるいは新しい研究に活用したいという国際的な強い要望に応えるために、1984年微古生物標本・資料センター(Micropaleontology Reference Center)が世界8ヶ所に設立され、現在は15ヶ所のセンターが機能しています。 詳しい情報は、WWW上のhttp://www-odp.tamu.edu/http://www-odp.tamu.edu/mrc/ で提供されています。 微古生物標本・資料センターに保管され、利用可能な標本のリストは http://www-odp.tamu.edu/mrc/files.html に公開されています。

 微古生物標本・資料センターは、総延長50万メートルにおよぶコア試料群から重要なコアを選び、コア冷蔵貯蔵所にリクエストし、その試料から有孔虫、放散虫、珪藻、石灰質ナノ化石などの標本を8組作成します。 現在、有孔虫標本はバーゼル自然史博物館、放散虫は宇都宮大学、珪藻は国立科学博物館とネブラスカ大学、石灰質ナノ化石と堆積物はスクリップス海洋研究所とネブラスカ大学で、それぞれ分担作成し、すべての標本をセンター間で互いに交換しています。 つまり研究者が最寄りのセンターを訪れることで、旅費と時間を節約して研究できるように配慮しているのです。

 15ヶ所のセンター:バーゼル自然史博物館(スイス、バーゼル)、ブレーメン大学(ドイツ・ブレーメン)、フンボルト大学自然科学博物館(ベルリン)、大英自然史博物館(ロンドン)、パルマ大学(イタリー、パルマ)、ロシア科学アカデミー・リソスフェアー研究所(モスクワ)、米国国立自然史博物館(ワシントンDC)、コロンビア大学ラモント・ドハティ地質研究所(ニューヨーク)、カリフォルニア大学スクリップス海洋研究所(サンディエゴ)、カリフォルニア科学アカデミー(サンフランシスコ)、テキサスA&M大学(カレッジ・ステーション)、ネブラスカ大学(リンカーン)、フロリダ州立大学(タラハシ)、リオデジャネイロ国立大学(リオデジャネイロ)、ニュージーランド地質・原子力科学研究所(ローワーハット)、国立科学博物館(東京)

深海掘削船
深海掘削船 ジョイデス・レゾリューション号
深海底をボーリングするための高い櫓と各種の研究機器を備えた国際共同利用の調査船である

放散虫
放散虫

珪藻
珪藻

有孔虫
有孔虫