本資料は、日本列島の層状チャートを主とするもので、ほかに日本海の誕生・拡大に関連して形成された第三紀硬質頁岩や珪藻土もふくみます。さらに、オーストラリアのタスマン造山帯における先カンブリア時代のチャートや、深海底から採取された珪質軟泥といった比較資料もふくまれています。日本列島の骨格をなす地質体によくみられるチャートは、かつては成因が不明なまま大陸縁に発達した地向斜堆積物とみなされました。しかし、チャートは放散虫などの珪質生物遺骸の集積によることが明らかになって、陸域から離れた深海堆積物として理解されるようになりました。そして、日本列島の成立史がプレートの沈み込みによる付加体形成で理解されるようになりましたが、それに考察に関連した資料です。白亜紀〜第三紀の付加体である西南日本太平洋側の四万十帯やジュラ紀付加体の秩父帯からの資料などをふくみ、『岩石標本カタログ』(9)として公表されています。
『岩石標本カタログ』(国立科学博物館 発行)は分館図書室でご覧いただけます。