日本は火山列島であり、火山岩については故久野久東京大学教授をはじめとして、多くの研究者によって先駆的な研究がなされてきています。しかし、研究に用いられた火山岩資料が保管されなかったために、後に追試研究ができなくなった例もあります。 そのため、当館では組織的な収集に努めており、約1500点をこえる火山岩と火山砕屑岩が登録されています。それらは日本全域にわたって採集されたものですが、とくに伊豆大島と伊豆半島から箱根・富士山にかけての標本が多くあります。
ほかには、三宅島、新島、浅間山、阿蘇、霧島、櫻島、蔵王などからのものが、比較的まとまって登録されています。火山弾をふくむ火山抛出物には、火山皿、火山豆石、火山餅、ペレーの毛、ペレーの涙、軽石、スコリアなど、いろいろな形態のものがあり、これらは展示によく利用されます。
当館の火山弾には、1783年噴出の浅間山のものから、1778年噴出の大島三原山、1874年噴出の三宅島、1914年噴出の櫻島など、古い噴火によるものがあり、最近では1983年三宅島と1986年の大島三原山で採集されたものもあります。第四紀火山岩については、『岩石標本カタログ』(6)として公表してあります。
『岩石標本カタログ』(国立科学博物館 発行)は分館図書室でご覧いただけます。