ハチやハエの仲間は、地球上で最も繁栄している動物群の一つであり、人間生活とのつながりも深い生物です。当館には合わせて18万点にのぼる国内最大級のハチとハエの標本が保管されており、内外の研究者に頻繁に利用されています。
ハチのコレクションは、本業のかたわらその研究をされていた吉岡實亮氏、山中正夫氏(おもに有剣ハチ類)、佐藤覚氏らの遺贈コレクションを基礎に元職員の石川良輔博士(都立大名誉教授)らが充実させたもので、現在1,200個体以上のタイプ標本を含む50,000点以上の標本が所蔵されています。とくに国内はもとよりロシア沿海州、韓国、台湾、ベトナムなどの各地で採集された東アジア産ハバチ類のコレクションはきわめて充実しています。
ハエのコレクションは、1,000個体以上のタイプ標本を含む約129,000点の標本からなります。その主体となっているのは1990年に東京医科歯科大学から寄贈されたコレクションです。これは同大学の加納六郎元学長の研究グループが、国内各地をはじめ東南アジアや南太平洋地域で収集したものが中心で、とくに衛生害虫として重要な有弁ハエ類では質量共に世界第一級といってよいものです。