昆虫以外のいわゆる「虫」には、クモ、ダニ、サソリなどを含むクモ類のほか、ムカデ類やヤスデ類などのいわゆる多足類があります。これらは昆虫と同じく非常に多様で、たとえばダニ類では、地球上に生息する種数は30万とも40万ともいわれています。クモ類は、エチルアルコールの液漬標本として、また、ダニ類の多くは非常に小さいので、プレパラート標本として永久保存されます。 現在当館には、このなかまの標本が約73,000点あり、新種の記載に用いられた正基準標本(ホロタイプ)だけでも1,000点近くに上ります。
さらに、採集や寄贈により毎年約1万点づつ増え続けています。当館は、所蔵標本数が全国の博物館のなかで群を抜いて高いだけでなく、これらの動物の研究の集積機関としてたいへん重要な役割を果たしており、海外の研究者からの問い合わせも頻繁に寄せられています。しかし、全体的にみれば、研究が済んだ標本は全体の数%に過ぎず、多くは未整理標本として、いつか、誰かに研究してもらえる日を、標本室の片隅でじっと待っているのです。