2010-08-20
日本最古の鉱物の示す真実 --- 日本列島が出来た場所とは?
日本最古の鉱物が見つかりました!
最古の○○と言えば、地学、人類学や考古学などで報告されることがありますが、大変興味をそそりますね。“最も古い”遙か昔を思うとロマンがあるからでしょうか??
今回、国立極地研究所・広島大学及び国立科学博物館を中心とする研究グループが、富山県黒部市宇奈月地域の花崗(こう)岩から「日本最古の砂粒」を発見しました。今回の発見では、“ジルコン”という鉱物が日本で報告された中で最も古い3750 Ma(1 Ma=百万年前:37億5千万年前)を示して、これまでの報告の最古の年代、33〜34億年前を大きく上回って、「日本最古の砂粒」の記録を更新する結果になりました。その公式の発表論文は、学術誌“Precambrian Research”(プレカンブリアン・リサーチ)にまもなく掲載される予定で、ただ今印刷されているところです。今回の発見は、予期せぬ発見だったようですが、そのような発見から、大きなスケールでの検討が出来るデータが得られことがあるようです。今回のホットニュースでは、日本最古の砂粒発見!にちなんで、日本最古の鉱物とは何なのか?それから何が分かるのか?について、じっくり紹介します。
今回、日本で最も古い鉱物が発見されたのは、富山県黒部市の宇奈月地域です。富山県黒部川流域から飛騨山脈(いわゆる北アルプス)一帯の地域で、富山県東部に位置する黒部市宇奈月地域(旧宇奈月町)は一般には温泉や黒部峡谷などで知られる地です。地質学的には、日本には稀な十字石という十字の形に結晶する鉱物を含み、また、過去に大陸が衝突した地域で見られるとされる「中圧型変成岩」を産する地として知られています。また、ペルム紀〜三畳紀(およそ2.9〜2.1億年前)の花崗岩(墓石としてよく見かける石ですね・・)も広く分布しています。
宇奈月地域の調査は、堀江憲路博士(当時は学術振興会特別研究員、現在、国立極地研究所に所属)を中心として開始されました。その研究の中で、この地域の花崗岩の年代を測定するためにジルコンという鉱物を取り出して、精密な分析装置(SHRIMP II)によって、ジルコンの中に含まれているウランと鉛の量比を分析して年代を計算する“ウラン‐鉛(U−Pb)年代測定”という方法を使いました。その結果、この花崗岩ができた年代を示しているジルコンの他に、それとは違う“とても古いジルコン”を含むことが判明したのです。
分析装置の“SHRIMP II”は商品名で、Sensitive High Resolution Ion MicroProbeの略です。日本語訳すれば「高感度高分解能二次イオン質量分析計」という意味です。主に鉱物ジルコンの年代測定を行うためにオーストラリアで開発された特殊な機械なのですが、このような高性能な装置が開発されたこともあり、最近はよりいっそう精度の良い分析が可能になって、地球の歴史がより詳しく解明されています。