2010-11-25
ノーベル賞2010から --- 科学への興味を広げてみよう!
日本人の受賞!ノーベル化学賞2010についてみてみよう
今年度のノーベル化学賞は2人の日本人が受賞するという快挙でした。受賞理由となった有機化合物の合成反応「パラジウム触媒を用いたクロスカップリング」とはどのような内容でしょうか?出てくる用語の解説もまじえながら、順に見ていきましょう。
■ 有機化合物とは?
有機化合物は、炭素原子と炭素原子がつながった化合物を言います。生物の体を構成する物質や生物が作り出す物質のほとんどが有機化合物です。特に生物由来の有機化合物を「有機物」ともいいます。私たちの身の回りの、様々な製品の材料としても広く使われています。高血圧の薬などの医薬品もあれば、テレビの液晶などエレクトロニクスの材料もあります。有機化合物は、炭素原子が結びついてできた骨組みを持ちます。六角形の形のベンゼン環など、どこかで見かけたことのある化学式も多いと思います。その炭素の骨格に酸素(O)、水素(H)、窒素(N)などがくっついたり、化合物によっては窒素や酸素など炭素以外の原子が骨組みに入っていたりすることもあります。しかし、基本は、炭素と炭素が手をつないでいって、小さい分子から大きな分子までいろいろな分子を作るのが有機化合物の特徴です。
■ 炭素原子の結びつき方とは?
炭素原子は、他の原子と結びつくための手を4つ持っています。一つの手どうしで結びつくと単結合、2つの手どうしで結びつくと二重結合、3つの手どうしで結びつくと三重結合といいます。
■ クロスカップリングとは?
さまざまな用途で用いるために、様々な種類の有機化合物を人工的に作る必要があります。そのためには炭素の原子を思うとおりにくっつけたいのです。しかし、炭素と炭素を結びつけるのは、たいへん難しい作業です。今回注目されている“クロスカップリング”は、そのくっつける作業のために重要な手法です。一つの手どうしで結びつく“単結合”で炭素原子どうしを結びつけることができるのが、クロスカップリング反応です。
クロスカップリングの流れをじっくりと見てみましょう。化合物1と化合物2を結びつけたいときの流れを紹介します。