2012-08-19
夏休みの自由研究で守られた貴重なマリモ − 絶滅危惧の山中湖フジマリモ
フジマリモとは?
“マリモ”と聞くと、北海道の阿寒湖のマリモを思い出す方も多いのではないでしょうか? マリモは阿寒湖のものが有名ですが、富山県の立山町や琵琶湖など全国各地にそのなかまが見つかっています。
マリモは,枝分かれする糸状の緑藻(藻類)で、水流などにより絡み合い球化します。琵琶湖に生息するマリモは石の上にコケのように付着しているだけで球化しません。フジマリモは、球状の集合体を作る阿寒湖のマリモの変種として報告されました。山梨県の天然記念物に指定されています。
■ フジマリモ発見の経緯とは?
1956年(昭和31年)4月に山中湖村村立山中小学校の6年生男子児童が山中湖で直径2センチほどの緑色の球状の藻を見つけ、同小学校の当時の校長、杉浦忠睦先生に報告し、杉浦先生が「富士毬藻(ふじまりも)」と命名しました。杉浦先生の報告を受け、同年5月に東京大学理学部本田正次教授によりマリモの一種であることが確認され、その翌年の1957年に、長崎大学の岡田喜一水産学部教授によって、学名
Aegagropila sauteri var.
yamanakaensis(和名:フジマリモ)として、長崎大学水産学部の紀要に報告されました。
このフジマリモは、当時マリモの仲間の南限の記録として1958年に山梨県の天然記念物に指定されています。河口湖では1979年に、西湖では1993年に発見され、1993年には山中湖とこれらとあわせて「フジマリモ及びその生息地」として県天然記念物に指定されました。
発見当時は山中湖の北東側では普通に見られ、台風時などには多数の球状のマリモが打ち上げられる程だったようです。しかしながら、山中湖のフジマリモは、湖の環境の悪化に伴い、激減し、見つからなくなりました。潜水調査でも1993年の調査以降見つかっておらず、絶滅したのではと思われていました。2007年に山梨県環境科学研究所等による潜水調査がおこなわれ、湖底にごく僅かに糸状のものが石上に生育していることが確認されました。