2012-12-10
光合成する植物と光合成しない植物の雑種が世界ではじめて開花
「根も葉もない」植物のふしぎ
雑種の両親はどんな植物なのか、お話ししましょう。どちらも花屋さんの店先にならぶシンビジウムの仲間です。母親のスルガランは、九州より南、熱帯アジア、さらにはニューギニアまで広く分布する林の下草です。長い葉を付け、正常に光合成をおこないます。父親のマヤランは関東地方から西の林に生え、海外では中国からヒマラヤにかけて分布しています。こちらは根も葉もない植物です。根がないから水を取り込むことができないですし、葉がないから光エネルギーを受けとめることができません。つまり、まともに光合成できないということです。
なぜこんな根も葉もない植物が進化したのでしょうか?それは菌類から水や栄養をもらっているからです。菌に寄生する仕組みを発達させるとともに光合成をやめてしまい、根や葉を作らない進化をとげたのでしょう。こうした方法で生きぬく植物を菌従属栄養植物と呼びます。
さて、こうしたまったく性質の違うふたつの植物の雑種ができた理由、それは両者が縁の近い種類だからです。