2011-02-01
300年ぶりに霧島新燃岳が噴火!〜日本の火山の不思議
科博で火山について考えてみよう
科博における火山の展示は日本館3階で見学することができます。皆さん、この機会に火山の展示をご覧頂き、火山について理解を深めて頂ければ幸いです。
・火山弾(図8)
3階の南翼を右へ入ったあとに右方向の壁を見ると、実物の火山弾や火山灰が展示してあることに気がつくはずです。これらは日本中の様々な火山から採取してきた資料であり、自由に触ってその感触を楽しむことができるように展示してあります。ただし一部の資料は尖っているため、怪我をしないように気をつけて触ってください。
火口から投出されたマグマは空気中を飛んでいる間や地面に着地したとき、変形して様々な外形を持つようになります。また特徴的な内部構造がつくられることもあり、これら構造を持つものを火山弾と呼びます。火口近くには1m以上もの巨大な火山弾が飛来することがあります。
一番下にある最も大きな資料は伊豆大島で噴火した紡錘状火山弾です。これは粘性の低いマグマが火口から投出されたときにできたものであり、両端が細くなっています。展示資料の中には富士山から噴出した紡錘状火山弾もあります。
一方、粘性の高いマグマが火口から放出されたときにみられるものが、パン皮状火山弾であり、これも複数展示してあります。外側は空気による急冷で生じた多角形の皮殻で囲まれ、亀の甲羅のように見えることもあります。飛行中も、そして着地後も内部は徐々に発泡を続けたため、表面はひび割れを生じました。
この他にもペレーの毛、火山灰、火山豆石、溶岩鍾乳石など火山噴火がつくった様々な奇岩が展示してありますので、見学を楽しんでください。
・火山と温泉の分布(図9)
次に左隣の「火山と温泉の分布模型」を見てみましょう。オレンジ色の点は日本列島にある活火山の位置を示してあり、108あります。「大晦日の除夜の鐘の数と一緒」と覚えれば忘れません。模型にはオレンジ色のラインも引かれていますが、これは日本海溝などのプレート境界です。火山の分布とプレート境界を見比べてみると、火山と海溝は平行に列をなしていることが分かるはずです.これは海溝から沈み込んだプレートが水を地下に押し込み、一定の深さの岩石を溶かしやすくするためだと考えられています(図10)。
火山の存在は温泉の分布とも密接に関わっています。模型内の黄色の点が温泉の位置であり、これらの多くは火山の近くに分布しています。この理由は地下水がマグマの熱で暖められ、吹き出したものが温泉だからです。火山は噴火により災害をもたらすことがありますが、温泉というめぐみをもたらす存在であることも理解頂けたらと願っています。
監修・協力
佐野 貴司 地学研究部 鉱物科学研究グループ 研究主幹