2013-12-26

ランの「生きた化石」が世界で初めて開花!


ノイウィーディアはラン?

写真左:ノイウィーディア・ボルニエンシスの花。おしべが3本、めしべが1本ある。 手前3枚の花被片は切り取った

写真右:典型的なランの花。めしべとおしべが合体して蕊柱(ずいちゅう)と呼ばれる1本の太い棒になる。また花被片の1枚が特殊化し唇弁(しんべん)になる





 ふつうラン科では6枚の花被片の1つが変わった色と形になるのが特徴です。唇弁(しんべん)といいます(写真)。さらにめしべとおしべが合体して蕊柱(ずいちゅう)と呼ばれる1本の太い棒になります。蕊柱の先端に葯が1個だけ付き、中には何万もの花粉がアメのようかたまっています。

 ランは単子葉植物という大きなグループに属します。典型的な単子葉植物の花は、ユリやチューリップを思い浮かべるとよいでしょう。花被片は同じ形で6枚、めしべは1本、おしべは6本でばらばらに離れて現れ、花粉は粉状です。

 ノイウィーディアの花の大きな特徴はめしべとおしべにあります。つまりおしべの数が3本と、ふつうの単子葉植物の6とランの1のあいだになり、めしべとおしべの付け根はくっつきますが、ほかのランのように全体が合体しません。一般の単子葉植物とランの中間の形であることが分かります。

 こんな特徴を持つので、ノイウィーディアはラン科でもっとも古く出現したグループとみなされて、「ランのご先祖様」、「ランの生きた化石」と呼ばれてきました。一方、ほかのランとは花の形があまりに違うので別の科とするべきという見解も有力で、ずっと論争が続いていました。決着がついたのはつい最近のことです。