2013-12-26
ランの「生きた化石」が世界で初めて開花!
遺伝子解析ではっきりしたノイウィーディアの進化
写真:ヤクシマラン亜科の根に共生する菌。担子菌門のアンズタケ目の1種(写真:辻田有紀)
1999年に私たちは、ニューヨーク植物園、キュー植物園などと共同研究をおこない、遺伝子の情報を使ってラン科の主要なグループ171種の進化の道のりを明らかにしました。その結果、ノイウィーディアとヤクシマランからなるヤクシマラン亜科はランでもっとも古く出現したグループであることがはっきりしました。
それはいつごろのことだったのでしょうか?遺伝子の種類ごとに進化速度が一定となる特性を利用して計算すると、ヤクシマラン亜科は白亜紀の約9000万〜8000 万年前には存在していたと推定されています。
その後の研究でもうひとつおもしろいことが分かりました。植物は根に菌を住まわせて互いに栄養のやり取りをしますが、ランの根と共生する菌は他の植物の共生菌と種類が大きく違っていることが知られています。担子菌門に属するキノコの1グループ、アンズタケ目の特定の種類とランはもっぱら共生するのです。
いっぽう、ランに縁の近いネギ、ヒガンバナ、アヤメの仲間などの根の共生菌は常にグロムス門という菌類が共生します。ではヤクシマラン亜科はどちらの菌と共生するのでしょうか?菌からDNAを取り出して調べると、他のランと同じアンズタケ目でした。つまり共生者との関係からもノイウィーディアが属すヤクシマラン亜科はランであることを支持します。